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日本国内における「国際結婚・この20年の推移」-未婚化社会データ考察-「その先に在る運命の人」
生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子
はじめに
特にこの質問はいまのところ100%、男性読者からの質問となっている。
男性の50歳時点・結婚経験なしの割合が4人に1人まで増加し、男性の未婚化が加速している状況の中、男性読者からの国際結婚への期待議論は当然、あると思う。
そこで本稿では、国のデータから、日本国内で婚姻届が提出されるケースの国際結婚(日本国内における国際結婚)の推移、ならびに最新状況をお伝えしてみたい。
本稿中のデータは、外国人の方と結婚した日本人が外国籍になる場合を含まないため、広義の日本の男女の国際結婚の状況ではない。あくまでも外国人と結婚し、日本の役所に書類を提出するケースを分析している。本稿が日本における未婚化を背景とした「それでは外国人との結婚を通して日本における未婚化を変えることが出来るか」という意識からくるであろう筆者への質問を端緒としているため、取り扱うデータの範囲としては特に問題が生じないといえるだろう。
意外と少ない国際結婚割合
一方、日本人女性の国際結婚の方はどうであろうか。一言で言うならば、多様である。ここ5年間の推移を見ると「その他の国」の夫が最も多い状況が続いている。
この傾向は10年前の2006年でも見られているが、全国際結婚の割合の中で見ると20年間で6%台から9%台へとその割合を伸ばしている。妻が日本人のパターンの中の割合で見ると、2016年単年では、その他の国の夫の割合が32%、韓国・朝鮮・フィリピン・タイの近隣アジア夫が41%、アメリカ・イギリス夫が21%となっているが、この5年間の傾向で見ても、割合の多様さはあまり変わらない。韓国・朝鮮・フィリピン・タイの近隣アジア夫が約4割、アメリカ・イギリス夫が約2割、その他の国の夫が約3割で固定化している。
このことから、アジア妻が8割で固定化している日本人男性の国際結婚に比べて、日本人女性の国際結婚は、かなり多様性をもっている、と指摘できる。
この20年間で見られる大きな変化の兆しとは
少なくともこの5年間を見る限りでは、日本人女性の国内における国際結婚での割合は増加の一途である。これまでは日本国内における国際結婚の主役はあくまでも「日本人男性とアジア妻」であったが、現在では約3組に1組は日本人妻と外国人夫のカップルの国際結婚へと変化してきていることが図表からはみてとれる。
特に男性の結婚のイメージへの多様化が鍵となるか
本稿での結果も含めると、やはり女性側においては結婚への価値感が、大きく変わってきているのではないか、ということが示されているように思えなくもない。
「男性が年下だったり、自分の学歴未満の学歴であったり、いろいろな国の国籍の方であったりしても、別にいいのかも」そんな声が聞こえてくるようにも思われる。男性が思うほどには「伝統的価値観上の勝ち組男性がいい」と思っていないのかもしれない。
国勢調査における50歳時点での結婚経験なしの最新状況を見ると、男性が4人に1人、女性が7人に1人である。この未婚化データと照らしあわせて考えるならば、日本の未婚男性が「女性が年上だったり、学歴が上だったり、いろいろな国籍の方だったりしても、とりあえず多様な女性に積極的にあってみよう、チャレンジしてみようかな」という気持ちをもったその先に、もしかすると待ち望んだ運命の人がいる可能性は、低くはないのではないだろうか。
(2017年10月16日「研究員の眼」)
03-3512-1878
- プロフィール
1995年:日本生命保険相互会社 入社
1999年:株式会社ニッセイ基礎研究所 出向
・【総務省統計局】「令和7年国勢調査有識者会議」構成員(2021年~)
・【こども家庭庁】内閣府特命担当大臣主宰「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」構成員(2024年度)
・【こども家庭庁】令和5年度「地域少子化対策に関する調査事業」委員会委員(2023年度)
※都道府県委員職は年度最新順
・【富山県】富山県「県政エグゼクティブアドバイザー」(2023年~)
・【富山県】富山県「富山県子育て支援・少子化対策県民会議 委員」(2022年~)
・【高知県】高知県「元気な未来創造戦略推進委員会 委員」(2024年度)
・【高知県】高知県「中山間地域再興ビジョン検討委員会 委員」(2023年度)
・【三重県】三重県「人口減少対策有識者会議 有識者委員」(2023年度)
・【石川県】石川県「少子化対策アドバイザー」(2023年度)
・【東京商工会議所】東京における少子化対策専門委員会 学識者委員(2023年~)
・【愛媛県法人会連合会】えひめ結婚支援センターアドバイザー委員(2016年度~)
・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する情報発信/普及啓発検討委員会 委員長(2021年~)
・【主催研究会】地方女性活性化研究会(2020年~)
・【内閣府特命担当大臣(少子化対策)主宰】「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」構成員(2021年~2022年)
・【内閣府男女共同参画局】「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」構成員(2021年~2022年)
・【内閣府委託事業】「令和3年度結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム開発調査 企画委員会 委員」(内閣府委託事業)(2021年~2022年)
・【内閣府】「地域少子化対策重点推進交付金」事業選定審査員(2017年~)
・【内閣府】地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査 企画・分析会議委員(2016年~2017年)
・【内閣府特命担当大臣主宰】「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」構成メンバー(2016年)
・【富山県】富山県成長戦略会議真の幸せ(ウェルビーイング)戦略プロジェクトチーム 少子化対策・子育て支援専門部会委員(2022年~)
・【長野県】伊那市新産業技術推進協議会委員/分野:全般(2020年~2021年)
・【佐賀県健康福祉部男女参画・こども局こども未来課】子育てし大県“さが”データ活用アドバイザー(2021年~)
・【愛媛県松山市「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会】結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバー(2017年度~2018年度)
・【中外製薬株式会社】ヒト由来試料を用いた研究に関する倫理委員会 委員(2020年~)
・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する意識調査/検討委員会 委員長(2020年~2021年)
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
日本労務学会 会員
日本性差医学・医療学会 会員
日本保険学会 会員
性差医療情報ネットワーク 会員
JADPメンタル心理カウンセラー
JADP上級心理カウンセラー
天野 馨南子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/16 | 若い世代が結婚・子育てに望ましいと思う制度1位は?-理想の夫婦像激変時代の人材確保対策を知る | 天野 馨南子 | 研究員の眼 |
2025/01/09 | 2013~23年 都道府県出生減(少子化)ランキング/合計特殊出生率との相関は「なし」 | 天野 馨南子 | 基礎研マンスリー |
2024/11/05 | 【少子化対策・人口動態データ報】2013~23年 都道府県出生数減少率(少子化)ランキング-合計特殊出生率との相関は「なし」- | 天野 馨南子 | 基礎研レター |
2024/07/11 | 【地方創生・人口動態データ報】2023年 都道府県転入超過ランキング~勝敗を決めたのはエリアの「雇用力」~ | 天野 馨南子 | ニッセイ基礎研所報 |
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