2017年09月26日

EUと米国の間の再保険規制を巡る動きについて-カバード・アグリーメントがついに署名された-

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6|AIA(American Insurance Association :米国保険協会)
AIAは、以下の声明11をリリースして、「この合意は、EUのソルベンシーII枠組みの実施後、米国のグループが直面した欧州の障壁を排除し、EUと米国におけるプルデンシャルな監督の相互承認を確立するものである。」と述べた。

さらに、AIAのSVP兼法律顧問のStef Zielezienski氏は、「お互いの規制制度だけでなく、差別のない取扱や、オープンで、互恵的で、競争的な保険市場へのコミットメントを確認している。両者がこの重要な合意の履行に向かう上で、業界は可能な限り手助けする用意ができている。」と述べている。

017年9月22日
差し迫ったカバード・アグリーメント署名に関するAIAの声明

米国保険協会(AIA)は、米国と欧州委員会との間の保険及び再保険のプルデンシャル措置に関するカバード・アグリーメントの差し迫った署名に対応して、以下の声明を発表した。

この合意は、EUのソルベンシーII枠組みの実施後、米国のグループが直面した欧州の障壁を排除し、EUと米国におけるプルデンシャルな監督の相互承認を確立するものである。

AIAのSVP兼法律顧問のStef Zielezienski氏の声明は、以下の通り。

「AIAは今日のニュースを歓迎し、米国とEUの関係者による苦労を高く評価する。交渉が始まった時点で、米国の保険会社と再保険グループは、欧州で事業を展開する能力の障害に直面していたが、今回の合意はこれらの障壁を取り除き、お互いの規制制度だけでなく、差別のない取扱や、オープンで、互恵的で、競争的な保険市場へのコミットメントを確認している。両者がこの重要な合意の履行に向かう上で、業界は可能な限り手助けする用意ができている。」

7|Insurance Europe(保険ヨーロッパ)
ここまでは、米国の関係団体の反応を述べてきたが、欧州サイドでは、欧州の保険業界団体であるInsurance Europeが、コメントを発表12して歓迎の意向を示している。

また、「この合意は、欧州再保険会社が米国に事業を展開する際に現在直面している担保要件を排除し、それにより欧州と米国の再保険会社の間の公平な競争条件をサポートしている。」としている。と同時に「保険ヨーロッパは、合意の締結の成功の鍵となる欧州議会での円滑なプロセスを期待している。」と述べている。
 

2017年9月22日
(再)保険に関するEUと米国の二国間合意の調印は歓迎される

保険と再保険に関するプルデンシャル措置について、EUと米国の間の二国間合意の調印の発表を受けて、保険ヨーロッパの健全な規制と国際問題担当のヘッドであるCristina Mihai氏は、以下のように述べた。

「保険ヨーロッパは、(再)保険に関するEU-米国二国間合意の署名を歓迎し、それが署名される前に、この合意の交渉において、そしてその後の立法過程において、過去2年間に欧州の機関及び加盟国によってなされた重要な作業と努力に感謝する。」

「この合意は、欧州再保険会社が米国に事業を展開する際に現在直面している担保要件を排除し、それにより欧州と米国の再保険会社の間の公平な競争条件をサポートしている。保険ヨーロッパは、合意の締結の成功の鍵となる欧州議会での円滑なプロセスを期待している。」

8|IUA(International Underwriting Association:国際アンダーライティング協会)
ロンドン市場におけるホールセールの(再)保険会社を代表しているIUAは、以下の声明13をリリースして、「EUと米国のカバード・アグリーメントは、両サイドにビジネス上の利点を提供しており、数ヶ月の審査と長年の策定の結果、今日署名に至ったことを喜んでいる。」とし、「これが、他者がより公平でより効率的なグローバルな保険業界の創造に従うことができるという実例の証明になる、ことを願っている。」と述べている。
 

2017年9月22日
IUAはEU / USのカバード・アグリーメントに署名についてコメントする

EUと米国の保険と再保険に関する二国間合意の署名後、IUAのDave Matcham最高経営責任者は、次のように述べた。

「EUと米国のカバード・アグリーメントは、両国にビジネス上の利点を提供しており、数ヶ月の審査と長年の策定の結果、今日署名に至ったことを喜んでいる。私は、規制当局間のより大きな相互認識のための重要な基準を設定する取引の迅速な実施を今、楽しみにしている。私は、これが、他者がより公平でより効率的なグローバルな保険業界の創造に従うことができるという実例の証明になる、ことを願っている。」

 

5―まとめ

5―まとめ

以上、EUと米国の間の再保険規制等を巡るカバード・アグリーメントの署名に関する今回の動き及びそれを受けての関係団体の反応について報告してきた。

合意前にはEUの監督当局が米国の州規制制度を機能的に同等であると認めていなかったため、グローバルに活動している米国の(再)保険会社は、資本基準の向上を含め、ソルベンシーIIへの対応のために、潜在的に多額の費用を負担することを余儀なくされる可能性があったが、今回の合意により、それが軽減されることになる。これに対して、米国で活動するEUの(再)保険会社には担保要件の救済措置が提供されることになる。

いずれにしても、今回の発表により、これまで長期間にわたって、米国の保険業界を二分していた問題に一定終止符が打たれることになる。また、今回のカバード・アグリーメントの締結により、「EUと米国の(再)保険会社の活躍の機会が拡大していく」ことが期待されることになる。

今回のカバード・アグリーメントを受けた実際の適用がどのような形で進展していくことになるのかについては大変気になるところであることから、今後のNAICや米国の各州及びEU各国の保険監督当局の対応や、米国と欧州の保険会社の対応等について、引き続き注視していくこととしたい。
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中村 亮一

研究・専門分野

(2017年09月26日「基礎研レポート」)

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