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- 消費者物価(全国17年7月)~コアCPI上昇率は徐々に高まるが、1%到達前に頭打ちの公算
2017年08月25日
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1.コアCPI上昇率は0.1ポイント拡大
コアCPIの内訳をみると、灯油(6月:前年比23.0%→7月:同21.2%)は上昇幅が縮小したが、ガソリン(6月:前年比6.1%→7月:同6.3%)、電気代(6月:前年比4.9%→7月:同6.1%)、ガス代(6月:前年比0.1%→7月:同1.4%)の上昇幅が拡大したことから、エネルギー価格の上昇率は6月の前年比4.9%から同5.8%へと拡大した。
2.物価上昇に裾野の広がりは見られず
消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、7月の上昇品目数は282品目(6月は279品目)、下落品目数は178品目(6月は182品目)となり、上昇、下落品目数ともに前月とほぼ変わらなかった。上昇品目数の割合は53.9%(6月は53.3%)、下落品目数の割合は34.0%(6月は34.8%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は19.9%(6月は18.5%)であった。上昇品目数は15年度中には60%を超えていたが、足もとでは50%台前半に低下している。コアCPI上昇率は徐々に高まっているが、今のところ物価上昇に裾野の広がりは見られない。
3.東京都区部のコアCPIは事前予想から上振れ
17年8月の東京都区部のコアCPIは前年比0.4%(7月:前年比0.2%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント高まった。事前の市場予想(QUICK集計:0.3%、当社予想も0.3%)を上回る結果であった。
灯油(7月:前年比13.5%→8月:同12.9%)の上昇幅は縮小したが、ガソリン(7月:前年比8.1%→8月:同9.9%)、電気代(7月:前年比6.1%→8月:同8.2%)、ガス代(7月:前年比2.6%→8月:同6.0%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー価格の上昇率が7月の前年比5.3%から同7.7%へと拡大した。
灯油(7月:前年比13.5%→8月:同12.9%)の上昇幅は縮小したが、ガソリン(7月:前年比8.1%→8月:同9.9%)、電気代(7月:前年比6.1%→8月:同8.2%)、ガス代(7月:前年比2.6%→8月:同6.0%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー価格の上昇率が7月の前年比5.3%から同7.7%へと拡大した。
4.コアCPI上昇率は1%到達前に頭打ちの公算
コアCPIを大きく押し上げているエネルギー価格は17年10月までは上昇率が高まるが、その後は上昇ペースが鈍化することが見込まれる。当研究所では、緩やかな円安、原油高が続くことを想定しているが、それでもエネルギーによるコアCPI上昇率の押し上げ寄与は17年7月の0.4%程度から10月に0.5%強まで拡大した後、17年度末にかけて0.2%程度まで縮小することが予想される。今後は需給バランスの改善に伴う物価押し上げ圧力が一定程度高まることが期待できるが、円安が消費者物価をはっきりと押し上げるのは、18年度入り後となろう。コアCPI上昇率は17年秋頃に0.7~0.8%程度まで高まった後、1%に到達する前に伸び率が頭打ちとなる可能性が高い。
なお、天候不順の影響でここにきて夏物野菜を中心に生鮮野菜の価格が上昇し始めている。東京都区部の8月中旬速報値では、生鮮野菜は前年比▲2.3%の下落であったが、農林水産省「青果物卸売市場調査(旬別結果)」によれば、なす、トマト、きゅうりなどの夏物野菜の価格が8月に入ってからすでに大幅に上昇している。今後、生鮮野菜の価格上昇ペースが加速した場合には、16年末頃と同様に物価上昇による実質所得の低下、あるいはそれに伴う節約志向の高まりが、個人消費を下押しするリスクがあることには注意が必要だ。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年08月25日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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