- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 日本の周回遅れ感が際立ち、円安をサポート~マーケット・カルテ8月号
2017年07月24日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
ドル円相場は方向感の定まらない展開が続いている。今月上旬は、日米金融政策の方向性の違いが意識されるなか、米経済指標の改善を受けて114円台まで円安ドル高が進んだが、その後はイエレンFRB議長のハト派寄りの議会証言や米物価指標の下振れ、米政治の混迷深刻化を受けてドルが売られ、足元では111円付近で推移している。なかなかドルが上がりきらない状況が続いているが、今後の展開としては、これまで同様、緩やかな円安予想を維持する。米経済が劇的に好転するとはみていないが、堅調な雇用情勢を起点として持ち直しが見えてくることで、FRBは9月に資産縮小に踏み切る可能性が高い。市場では先々の金融引き締め観測が高まり、米金利上昇を通じてドル高圧力がかかるだろう。また、米国のみならず欧州やカナダなどでの金融政策正常化に向けた動きが、出口の見えない日本の金融政策の周回遅れ感を際立たせることも円安をサポートする。3ヵ月後の水準は113円から114円と見込んでいる。
ユーロ円は、ECBによる量的緩和縮小の模索が強く意識され、堅調を維持している。足元では129円台半ばにあり、ユーロは筆者の想定を超える強さを見せている。量的緩和縮小は既に織り込みが進んでいるテーマだが、ECBは秋に議論する方針を示しているため、今後も市場で意識され、ユーロの支援材料になりそうだ。3ヵ月後の水準は130円台と予想している。
長期金利は、今月上旬に米金利上昇を受けて一旦上昇したが、日銀の指値オペ実施で反転、以降は米金利低下を受けてやや低下し、足元は0.06%台にある。今後は米金利の上昇によって上昇圧力が高まっていくとみられるが、0.1%を明確に超える領域では日銀が強力に抑えにかかるため、上昇余地は限定的になるだろう。3ヵ月後は0.1%を若干下回る水準を予想している。
(執筆時点:2017/7/24)
(2017年07月24日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/22 | 高市新政権が発足、円相場の行方を考える~マーケット・カルテ11月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
| 2025/10/14 | 貸出・マネタリー統計(25年9月)~銀行貸出の伸びが4年半ぶりの4%台に、定期預金等はバブル期以来の高い伸びを記録 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/10/06 | 円安が続く背景を改めて点検する~円相場の行方は? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
| 2025/10/01 | 日銀短観(9月調査)~トランプ関税の影響は依然限定的、利上げ路線をサポートするも、決め手にはならず | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年10月24日
米連邦政府閉鎖と代替指標の動向-代替指標は労働市場減速とインフレ継続を示唆、FRBは政府統計を欠く中で難しい判断を迫られる -
2025年10月24日
企業年金の改定についての技術的なアドバイス(欧州)-EIOPAから欧州委員会への回答 -
2025年10月24日
消費者物価(全国25年9月)-コアCPI上昇率は拡大したが、先行きは鈍化へ -
2025年10月24日
保険業界が注目する“やせ薬”?-GLP-1は死亡率改善効果をもたらすのか -
2025年10月23日
御社のブランドは澄んでますか?-ブランド透明性が生みだす信頼とサステナビリティ開示のあり方(1)
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【日本の周回遅れ感が際立ち、円安をサポート~マーケット・カルテ8月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日本の周回遅れ感が際立ち、円安をサポート~マーケット・カルテ8月号のレポート Topへ










