2017年07月05日

株主の立場からみた年金資産運用

北村 智紀

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確定給付年金は、退職給付制度のなかで、依然として中心的な役割を果たしている。年金運用は、加入者・受給者の利益を図るように安定運用を行うことが基本である。投資理論に基づく資産配分は、株式4割、債券6割などの中庸な解が最適解になる。

一方、企業においては、ROE の向上など、株主価値を高めることが求められている。年金資産が企業に属すると考えられることや、積立不足になった場合に、最終的には株主が負担することなどから、年金運用においても株主の立場からみた場合に、どのような資産配
分が最適になるのかを考えることは自然な流れであろう。

加入者・受給者は、給付の安定的な確保を目標にしたいのに対して、株主は、その価値を最大化することが目標であり、年金運用における株主と加入者・受給者の利害は一致しない。

本号では、株主の立場からみた年金資産運用に関する代表的な仮説を紹介する。株主価値を最大化する資産配分は中庸な解にはならず、株式100%などの極端な解となるが、どうしてそうなるのか簡単に検討する。さらに最近の実証分析結果を紹介する。

■目次

1――(年金運用):株主の立場からみた年金運用(1)
                      -ポートフォリオ理論が当てはまらない資産配分の決定

2――(年金運用):株主の立場からみた年金運用(2)
                      -リスク・シフティング仮説とリスク・マネジメント仮説

3――(年金運用):株主の立場からみた年金運用(3)
                      -タックス・アービトラージ仮説および最近の実証分析結果
 
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北村 智紀

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