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- 「キッズウィーク」への期待と課題~課題は山積み、まずは労働者が柔軟に休める仕組み作りを
2017年06月15日
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■要旨
■目次
1――政府の「キッズウィーク」構想~狙いは消費活性化と「休み方改革」
2――「キッズウィーク」への期待
~混雑・渋滞の緩和、旅行需要の喚起、旅行業界の品質向上と安定化
3――「キッズウィーク」の課題
~労働者が柔軟に有給休暇を取得できる仕組み作りが必要
1|そもそも親が休めるのか?~有給取得の柔軟性や取得率を上げる必要性
2|労働者によって差が出ないか?
~子どもの有無や業種、雇用形態による違いが懸念
4――おわりに
- 政府は骨太の方針にて、2018年度から「キッズウィーク」の創設を打ち出した。地域ごとに夏休みなどの長期休暇の一部をずらし、親の有給休暇取得を促進する。力強さに欠ける消費を活性化させ、「働き方改革」(「休み方改革」)を進めることが狙いだ。
- 「キッズウィーク」として学校休業日を分散させ、親が合わせて休みを取れば社会全体で休暇が分散する。混雑や渋滞の緩和、旅行需要の喚起が期待でき、需要の平準化で旅行業界の安定化ものぞめる。すでに、フランスやドイツで導入されている。
- ただし、日本では課題も多い。人手不足や周囲が休まないことを理由に日本人の有給休暇取得率は低く、休暇取得に罪悪感を感じる傾向もある。「キッズウィーク」を定着させるには、フランスのような法整備など強制力の必要性がうかがえる。
- 労働者によって受ける恩恵に差が出る懸念もある。子のいない夫婦や独身者、非正規雇用者、旅行業やサービス業従事者は休めるのかという疑問もわく。学校休業日の分散化という構想は期待できる部分もあるが、有給休暇の取得には労働者間の不公平感は出るべきではなく、全ての労働者が柔軟に休める仕組み作りが必要だ。
- また、労働者の賃金が伸びない中、休暇を取っても消費の活性化は期待しにくく、同時に可処分所得拡大に向けた取組みも強く推し進める必要がある。
■目次
1――政府の「キッズウィーク」構想~狙いは消費活性化と「休み方改革」
2――「キッズウィーク」への期待
~混雑・渋滞の緩和、旅行需要の喚起、旅行業界の品質向上と安定化
3――「キッズウィーク」の課題
~労働者が柔軟に有給休暇を取得できる仕組み作りが必要
1|そもそも親が休めるのか?~有給取得の柔軟性や取得率を上げる必要性
2|労働者によって差が出ないか?
~子どもの有無や業種、雇用形態による違いが懸念
4――おわりに
(2017年06月15日「基礎研レター」)
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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