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2017年06月02日
3.金融市場(5月)の動きと当面の予想
(10年国債利回り)
5月の動き 月初0.0%台前半でスタートし、月末も0.0%台前半に。
月初、0.0%台前半で推移した後、米雇用統計の良好な結果や仏大統領選の無難な結果を受けてリスク回避姿勢が後退するとともに上昇し、11日に0.0%台半ばに。ただし、その後は、北朝鮮のミサイル発射やサイバーテロ、米国のロシアゲート緊迫化などを受けて安全資産需要が台頭、金利の上昇は止まり、月末にかけて0.0%台前半から半ばでの推移が続いた。
当面の予想
足元は0.0%台半ばで推移。今後は米経済指標が回復するとともに、6月FOMCで利上げを実施され、バランスシート縮小を含む金融引き締めに前向きな姿勢が示されることなどから米長期金利が持ち直し、波及する形で本邦長期金利も若干水準を切り上げると予想。しばらく0.0%台半ばから後半での推移となりそうだ。目先の焦点は本日夜の米雇用統計となるが、とりわけ物価上昇率に波及しやすい平均時給の伸びが注目される。
5月の動き 月初0.0%台前半でスタートし、月末も0.0%台前半に。
月初、0.0%台前半で推移した後、米雇用統計の良好な結果や仏大統領選の無難な結果を受けてリスク回避姿勢が後退するとともに上昇し、11日に0.0%台半ばに。ただし、その後は、北朝鮮のミサイル発射やサイバーテロ、米国のロシアゲート緊迫化などを受けて安全資産需要が台頭、金利の上昇は止まり、月末にかけて0.0%台前半から半ばでの推移が続いた。
当面の予想
足元は0.0%台半ばで推移。今後は米経済指標が回復するとともに、6月FOMCで利上げを実施され、バランスシート縮小を含む金融引き締めに前向きな姿勢が示されることなどから米長期金利が持ち直し、波及する形で本邦長期金利も若干水準を切り上げると予想。しばらく0.0%台半ばから後半での推移となりそうだ。目先の焦点は本日夜の米雇用統計となるが、とりわけ物価上昇率に波及しやすい平均時給の伸びが注目される。
(ドル円レート)
5月の動き 月初111円台半ばでスタートし、月末は111円付近に。
月初、米歳出法案合意によって政府機関閉鎖が回避され、2日に112円台に。その後は良好な米雇用統計結果を受けた早期利上げ観測や仏大統領選の無難な結果を受けたリスク選好に伴って円安ドル高基調となり、9日に113円台、11日には114円台に到達。しかし、その後は弱めの米経済指標やロシアゲート緊迫化・トランプ大統領の情報漏えい疑惑など米政権不安から一転ドル安圧力が強まり、18日には111円に戻る。月下旬も米政権運営の不透明感や英国でのテロ発生、欧州の政治リスクなどからドルの上値は重く、111円台を中心とする推移が継続。
当面の予想
今月に入り、好調な米経済指標発表を受けて、足元は111円台後半で推移。今後は米経済指標が持ち直すほか、6月FOMCで利上げに加えて金融引き締めに前向きな姿勢が表明されることなどからドルが持ち直すと予想。ただし、ロシアゲート問題への警戒が燻るなかでトランプ政権の財政政策への期待が高まりにくくなっているほか、英仏の議会選挙が予定されていることから、欧州の政治リスク見極める姿勢も強まるとみられ、利益確定売りが入りやすいなかでドルの上値は当面限定的になりそうだ。長期金利同様、目先の焦点は本日夜の米雇用統計の内容となる。
5月の動き 月初111円台半ばでスタートし、月末は111円付近に。
月初、米歳出法案合意によって政府機関閉鎖が回避され、2日に112円台に。その後は良好な米雇用統計結果を受けた早期利上げ観測や仏大統領選の無難な結果を受けたリスク選好に伴って円安ドル高基調となり、9日に113円台、11日には114円台に到達。しかし、その後は弱めの米経済指標やロシアゲート緊迫化・トランプ大統領の情報漏えい疑惑など米政権不安から一転ドル安圧力が強まり、18日には111円に戻る。月下旬も米政権運営の不透明感や英国でのテロ発生、欧州の政治リスクなどからドルの上値は重く、111円台を中心とする推移が継続。
当面の予想
今月に入り、好調な米経済指標発表を受けて、足元は111円台後半で推移。今後は米経済指標が持ち直すほか、6月FOMCで利上げに加えて金融引き締めに前向きな姿勢が表明されることなどからドルが持ち直すと予想。ただし、ロシアゲート問題への警戒が燻るなかでトランプ政権の財政政策への期待が高まりにくくなっているほか、英仏の議会選挙が予定されていることから、欧州の政治リスク見極める姿勢も強まるとみられ、利益確定売りが入りやすいなかでドルの上値は当面限定的になりそうだ。長期金利同様、目先の焦点は本日夜の米雇用統計の内容となる。
(ユーロドルレート)
5月の動き 月初1.09ドル台前半からスタートし、月末は1.12ドル台前半に。
月初、仏大統領選でのマクロン氏勝利を織り込む形で5日に1.09ドル台後半に上昇したが、実際に同氏勝利を受けた後は材料出尽くしでユーロ売りが強まり、9日には1.08ドル台後半に。その後は低調な米経済指標やロシアゲート緊迫化に伴ってユーロが上昇基調となり、17日には1.11ドル台に。さらに22日には独メルケル首相発言がECBの緩和をけん制したと捉えられ、1.12ドル台に乗せた。月の終盤は、過熱感やイタリア選挙前倒し観測などからユーロの上値が重くなり、1.12ドル前後での推移が続いた。
当面の予想
足元は1.12ドル台前半で推移。ユーロ圏の経済指標は持ち直しを示すものが多く、金融緩和縮小観測の高まりがユーロの支援材料となっている。ただし、これまでユーロは急ピッチで上昇してきただけに過熱感があるうえ、ECBによる緩和縮小に関しても、市場は前のめり的に織り込んできた印象が強い。従って、ユーロの上値は重く、今後ドル高圧力がやや高まるにつれて、ユーロドルは弱含みで推移すると予想している。
5月の動き 月初1.09ドル台前半からスタートし、月末は1.12ドル台前半に。
月初、仏大統領選でのマクロン氏勝利を織り込む形で5日に1.09ドル台後半に上昇したが、実際に同氏勝利を受けた後は材料出尽くしでユーロ売りが強まり、9日には1.08ドル台後半に。その後は低調な米経済指標やロシアゲート緊迫化に伴ってユーロが上昇基調となり、17日には1.11ドル台に。さらに22日には独メルケル首相発言がECBの緩和をけん制したと捉えられ、1.12ドル台に乗せた。月の終盤は、過熱感やイタリア選挙前倒し観測などからユーロの上値が重くなり、1.12ドル前後での推移が続いた。
当面の予想
足元は1.12ドル台前半で推移。ユーロ圏の経済指標は持ち直しを示すものが多く、金融緩和縮小観測の高まりがユーロの支援材料となっている。ただし、これまでユーロは急ピッチで上昇してきただけに過熱感があるうえ、ECBによる緩和縮小に関しても、市場は前のめり的に織り込んできた印象が強い。従って、ユーロの上値は重く、今後ドル高圧力がやや高まるにつれて、ユーロドルは弱含みで推移すると予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年06月02日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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