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- 米経済の真価が問われる~マーケット・カルテ6月号
2017年05月23日
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トランプ政権の運営は順調とは言い難く、今後もロシアゲート情勢も含め、先行き懸念がドルの上値を抑える要因になる。批判が厳しくなれば、トランプ政権が挽回に向けて保護主義姿勢を強め、ドル高けん制を繰り出してくる可能性も高まりかねない。一方、米金融政策はドル高の推進力となりそうだ。最近の米経済指標には弱いものが目立つが、一時的な減速に留まり、勢いを取り戻す可能性が高い。6月利上げの後も、9月利上げ観測やFRBのB/S縮小議論を受けて、緩やかな円安ドル高に向かうだろう。3ヵ月後の水準は1ドル114円前後と予想している。逆に言えば、FRBが金融引き締めを躊躇せざるを得ない経済状況になれば、ドル高の推進力が消滅することになる。今後数ヵ月は米経済の真価が問われる時間帯になりそうだ。
ユーロ円は、仏大統領選終了に伴って欧州政治リスクが後退したこと、ECBの緩和の出口が市場で意識されていることなどから、125円付近まで上昇している。今後もECBの出口が意識されることや英仏議会選が無難な結果に終わりそうなことはユーロの下支えとなるが、これまでの急上昇の結果、既に過熱感があり、ECBの出口開始も当分先の話であることから、上値が重くなりそうだ。3ヵ月後も現状と大差ない水準に留まると予想する。
長期金利は、リスク回避姿勢の後退などから、0.0%台半ばに上昇している。今後は米国の金融引き締め(及び観測)を背景に米金利の上昇が予想され、限定的ながら上昇圧力が波及するだろう。3ヵ月後の水準は0.0%台後半を見込んでいる。
(執筆時点:2017/5/23)
(2017年05月23日「基礎研マンスリー」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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