2017年05月08日

【4月米雇用統計】雇用者数は21.1万人増と、前月から大幅に伸びが加速、失業率も4.4%に改善

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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4.家計調査の詳細:失業率は低下も、労働参加率の改善は5ヵ月ぶりに悪化

家計調査のうち、4月の労働力人口は前月対比で+1.2万人(前月:+14.5万人)と、前月から伸びが大幅に鈍化した。内訳を見ると、就業者数が+15.6万人(前月:+47.2万人)と前月から伸びが鈍化したほか、失業者数も▲14.6万人(前月:▲32.6万人)と3ヵ月連続の減少となり、労働力人口を低下させた。一方、非労働力人口は+16.2万人(前月:+2.3万人)と、2ヵ月連続の増加となった。この結果、労働参加率は62.9%(前月:63.0%)と、小幅ながら5ヵ月ぶりに悪化した(図表5)。

後述するように広義の失業率も低下しており、労働需給のタイト化は続いているものの、労働参加率が小幅悪化したほか、非労働力人口も増加していることから、4月の失業率低下については、その分は割り引いて考える必要があるだろう(図表6)。
(図表5)労働参加率の変化(要因分解)/(図表6)失業率の変化(要因分解)
次に、4月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、162.6万人(前月:168.7万人)となり、前月対比では▲6.1万人(前月:▲11.4万人)と3ヵ月連続の減少となった。この結果、長期失業者の失業者全体に占めるシェアは22.6%(前月:23.3%)と、09年1月以来の22%台まで低下した。一方、平均失業期間は24.1週(前月:25.3週)とこちらも前月から減少した(図表7)。
 
最後に、周辺労働力人口(153.4万人)3や、経済的理由によるパートタイマー(527.2万人)も考慮した広義の失業率(U-6)4をみると、4月は8.6%(前月:8.9%)と前月から▲0.3%ポイント低下した(図表8)。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.4%ポイント(前月:4.5%ポイント)と、前月から▲0.1%ポイント縮小した。
(図表7)失業期間の分布と平均失業期間/(図表8)広義失業率の推移
 
3 周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
4 U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2017年05月08日「経済・金融フラッシュ」)

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