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2017年04月26日
欧州大手保険グループの2016年決算状況について(2)-低金利環境下での各社の生命保険事業の地域別の業績や収益状況はどうだったのか-
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6|Aegon
(1)地域別の業績-2016年の結果-
Aegonは、世界の20カ国以上で事業展開している。
資産ベースで、自国のオランダの構成比が2割強、英国も2割程度を占めているが、米国を中心とした北米・中南米の構成比が5割程度と高くなっている。
Transamericaのブランドを中心とする米国子会社グループは、2016年9月末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第9位となっている。ブラジルとメキシコで事業展開しているが、カナダの生命保険事業や資産管理事業は2015年7月に売却している。
また、損害保険事業は欧州でのみ展開しているが、その全体における位置付けは高くない。
なお、Aegonは、2015年11月3日にFSB(金融安定理事会)が公表したG-SIIsのリストに、Generaliに代わって、新たに加えられている。
(1)地域別の業績-2016年の結果-
Aegonは、世界の20カ国以上で事業展開している。
資産ベースで、自国のオランダの構成比が2割強、英国も2割程度を占めているが、米国を中心とした北米・中南米の構成比が5割程度と高くなっている。
Transamericaのブランドを中心とする米国子会社グループは、2016年9月末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第9位となっている。ブラジルとメキシコで事業展開しているが、カナダの生命保険事業や資産管理事業は2015年7月に売却している。
また、損害保険事業は欧州でのみ展開しているが、その全体における位置付けは高くない。
なお、Aegonは、2015年11月3日にFSB(金融安定理事会)が公表したG-SIIsのリストに、Generaliに代わって、新たに加えられている。
(2)地域別の業績-2015年との比較-
2015年との比較では、全体では、増収増益となっている。
米国では、事業費の削減と支払率の改善があったものの、2015年に引き続き、変額年金の販売が低迷し、2015年の第3四半期に行った責任準備金の評価替えやモデルの更新がマイナスの影響を与えていたこと等から、若干の減益となっている。
欧州では、顧客を新たな退職プラットフォームにアップグレードさせたことにより、英国における繰延新契約費の償却額が低下したことを主要因として、基礎利益が17%と大幅に増加した。
アジアでは、低金利環境下で、香港やシンガポールでのユニバーサル保険の販売が低迷したことや、アジア各国で収益性確保の観点からの商品・価格戦略や事業の見直しを進めたことにより、減収となっている。
新契約価値については、各地域で大きなマイナスとなっている。北米は、1) 低金利によって米国での変額年金の販売が低迷したこと、2) カナダ事業からの撤退による影響、によるものであり、欧州では、英国での年金事業を売却したこと等が要因に挙げられている。
2015年との比較では、全体では、増収増益となっている。
米国では、事業費の削減と支払率の改善があったものの、2015年に引き続き、変額年金の販売が低迷し、2015年の第3四半期に行った責任準備金の評価替えやモデルの更新がマイナスの影響を与えていたこと等から、若干の減益となっている。
欧州では、顧客を新たな退職プラットフォームにアップグレードさせたことにより、英国における繰延新契約費の償却額が低下したことを主要因として、基礎利益が17%と大幅に増加した。
アジアでは、低金利環境下で、香港やシンガポールでのユニバーサル保険の販売が低迷したことや、アジア各国で収益性確保の観点からの商品・価格戦略や事業の見直しを進めたことにより、減収となっている。
新契約価値については、各地域で大きなマイナスとなっている。北米は、1) 低金利によって米国での変額年金の販売が低迷したこと、2) カナダ事業からの撤退による影響、によるものであり、欧州では、英国での年金事業を売却したこと等が要因に挙げられている。
7|Zurich
(1)地域別の業績-2016年の結果-
Zurichも、世界の210以上の国と地域で、生命保険・損害保険のサービスを提供している。
欧州では、自国のスイス以外に、ドイツや英国から高い営業利益を上げている他、スペイン、イタリア、アイルランド等からの営業利益も有意な水準となっている。ただし、こうした欧州各国からの構成比は全体の7割弱であり、残りの3割は米国4、中南米、アジア・太平洋等が占めている。
特に、他社との比較では、アルゼンチン、ブラジル、チリ、メキシコ等の中南米の位置付けが高いのが特徴的である。Banco Santanderとの提携によるZurich Santanderにおける販売が貢献している。
(1)地域別の業績-2016年の結果-
Zurichも、世界の210以上の国と地域で、生命保険・損害保険のサービスを提供している。
欧州では、自国のスイス以外に、ドイツや英国から高い営業利益を上げている他、スペイン、イタリア、アイルランド等からの営業利益も有意な水準となっている。ただし、こうした欧州各国からの構成比は全体の7割弱であり、残りの3割は米国4、中南米、アジア・太平洋等が占めている。
特に、他社との比較では、アルゼンチン、ブラジル、チリ、メキシコ等の中南米の位置付けが高いのが特徴的である。Banco Santanderとの提携によるZurich Santanderにおける販売が貢献している。
4 Zurichの米国子会社グループは、他の米国事業を有する4社の米国子会社グループの規模とは異なり、2015年末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第92位である。
(2)地域別の業績-2015年との比較-
Zurichの決算数値は米ドル建で報告されているため、2015年との比較を見る上では、2016年の米ドルの主要通貨に対する状況を考慮しておく必要がある。
営業利益の進展率については、全体 9%(米ドルベースは、以下の図表の通りで3%、以下同様)、欧州・中東・アフリカ 6%(2%)、中南米 32%(28%)、となっている。会社全体の新契約価値も、現地通貨ベースではほぼ横ばい(▲5%)となっている。北米では、継続率の悪化により、34%減少したが、中南米では、高い投資リターンが得られたことから、大幅に増加した。アジア・太平洋の営業利益は、日本における成長、香港における継続率の改善や(赤字続きの)シンガポール生命保険ポートフォリオをノンコア事業に移転したこと等により、倍増している。マレーシアやオーストラリアにおける最近の買収によるプラス効果は統合のコストが上回る形になっている。
Zurichの決算数値は米ドル建で報告されているため、2015年との比較を見る上では、2016年の米ドルの主要通貨に対する状況を考慮しておく必要がある。
営業利益の進展率については、全体 9%(米ドルベースは、以下の図表の通りで3%、以下同様)、欧州・中東・アフリカ 6%(2%)、中南米 32%(28%)、となっている。会社全体の新契約価値も、現地通貨ベースではほぼ横ばい(▲5%)となっている。北米では、継続率の悪化により、34%減少したが、中南米では、高い投資リターンが得られたことから、大幅に増加した。アジア・太平洋の営業利益は、日本における成長、香港における継続率の改善や(赤字続きの)シンガポール生命保険ポートフォリオをノンコア事業に移転したこと等により、倍増している。マレーシアやオーストラリアにおける最近の買収によるプラス効果は統合のコストが上回る形になっている。
なお、Zurichの生命保険事業の投資利回り(ネット)は、3.43%(2013年)、3.38%(2014年)、3.09%(2015年)と低下してきていたが、2016年度は3.12%と若干反転している。
(2017年04月26日「基礎研レポート」)
中村 亮一のレポート
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