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2017年04月26日
欧州大手保険グループの2016年決算状況について(2)-低金利環境下での各社の生命保険事業の地域別の業績や収益状況はどうだったのか-
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1―はじめに
欧州大手保険グループの2016年決算数値が、2月から4月にかけて、投資家向けのプレゼンテーション資料やAnnual Reportの形で公表されている。
前回のレポート1では、「全体の状況とAXA、Allianz、Generaliの3社の状況」について報告した。今回のレポートでは、「Prudential、Aviva、Aegon、Zurichの4社の状況と全体のまとめ」について報告する。
1 基礎研レポート「欧州大手保険グループの2016年決算状況について(1)-低金利環境下での各社の生命保険事業の地域別の業績や収益状況はどうだったのか-」(2017.4.25)
前回のレポート1では、「全体の状況とAXA、Allianz、Generaliの3社の状況」について報告した。今回のレポートでは、「Prudential、Aviva、Aegon、Zurichの4社の状況と全体のまとめ」について報告する。
1 基礎研レポート「欧州大手保険グループの2016年決算状況について(1)-低金利環境下での各社の生命保険事業の地域別の業績や収益状況はどうだったのか-」(2017.4.25)
2―欧州大手保険グループ各社の決算状況(前回のレポートからの続き)-Prudential、Aviva、Aegon、Zurich-
ここでは、欧州大手保険グループ各社の生命保険事業について、保険料、営業利益に加えて、資産、EV(Embedded Value)2及び新契約価値の状況を地域別に報告している。
さらに、低金利環境下での投資関係損益を巡る状況や新契約の収益率等の状況を、各社毎に得られる情報に基づいて、報告している。
4|Prudential
(1)地域別の業績-2016年の結果-
Prudential は、自国の英国に加えて、米国やアジアの14カ国及びアフリカの4カ国と、ほぼ20カ国程度で事業展開している。
米国子会社のJackson National Groupは、2016年9月末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第10位となっている。収入保険料や営業利益では米国のウェイトが最も高いが、将来の利益に基づくEEVや新契約価値ベースではアジアの位置付けが最も高いものとなっている。
さらに、低金利環境下での投資関係損益を巡る状況や新契約の収益率等の状況を、各社毎に得られる情報に基づいて、報告している。
4|Prudential
(1)地域別の業績-2016年の結果-
Prudential は、自国の英国に加えて、米国やアジアの14カ国及びアフリカの4カ国と、ほぼ20カ国程度で事業展開している。
米国子会社のJackson National Groupは、2016年9月末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第10位となっている。収入保険料や営業利益では米国のウェイトが最も高いが、将来の利益に基づくEEVや新契約価値ベースではアジアの位置付けが最も高いものとなっている。
2 欧州大手保険グループは、EEV(ヨーロピアンEV)とMCEV(市場整合的EV)のいずれかに基づくEV(Embedded Value:エンベデッド・バリュー)を公表している。
(2)地域別の業績-2015年との比較-
2015年との比較では、アジアが2割を超える増収増益で、全体の増収増益に大きく貢献している。米国の営業利益も2割程度増加している。これらのアジアや米国の高進展のうち12%~13%程度は為替要因によるものであるが、これらを除いても高い伸びとなっている。特に、アジアでは、エージェンシーや銀行窓販を通じて、成長する中間所得層向けに保障・貯蓄性商品の販売が好調で、新契約利益、営業利益及び資本形成において、7年連続で2桁成長を遂げてきた、としている。
英国については、バルク年金市場からの撤退により、年金からの利益が大幅に減少したことに加えて、過去の助言無年金商品の販売実務や関連する補償のレビューを行うコストとして175百万ポンドの準備金設定等を行った影響で、営業利益は大きく減少した。
米国では、スプレッドは低下したが、資産残高の進展に伴う手数料収入が増加したことにより、営業利益が増加した。
2015年との比較では、アジアが2割を超える増収増益で、全体の増収増益に大きく貢献している。米国の営業利益も2割程度増加している。これらのアジアや米国の高進展のうち12%~13%程度は為替要因によるものであるが、これらを除いても高い伸びとなっている。特に、アジアでは、エージェンシーや銀行窓販を通じて、成長する中間所得層向けに保障・貯蓄性商品の販売が好調で、新契約利益、営業利益及び資本形成において、7年連続で2桁成長を遂げてきた、としている。
英国については、バルク年金市場からの撤退により、年金からの利益が大幅に減少したことに加えて、過去の助言無年金商品の販売実務や関連する補償のレビューを行うコストとして175百万ポンドの準備金設定等を行った影響で、営業利益は大きく減少した。
米国では、スプレッドは低下したが、資産残高の進展に伴う手数料収入が増加したことにより、営業利益が増加した。
(3)投資関係損益等を巡る状況
Prudentialは、投資関係損益を含む営業利益の源泉の状況を地域別に公表しているので、それを報告すると、次ページの図表の通りとなっている。
これによると、低金利環境下での利回り低下に伴い、会社全体のスプレッドは、2015年の158bpsから2016年の141bpsへとさらに低下したが、為替の影響があり、スプレッド収入は1,153百万ポンドから1,171百万ポンドの微増(為替横ばいベースでのスプレッド収入は2015年の1,267百万ポンドから8%減少、以下同様)にとどまった。一方で、手数料収入が1,888百万ポンドから2,175百万ポンドに15%増加(2,118百万ポンドから3%増加)し、保険引受けマージン等が3,493百万ポンドから4,117百万ポンドに19%増加(3,858百万ポンドから7%増加)している。これらは会社の高効率資本商品へのシフト戦略の結果によるものである。
Prudentialは、投資関係損益を含む営業利益の源泉の状況を地域別に公表しているので、それを報告すると、次ページの図表の通りとなっている。
これによると、低金利環境下での利回り低下に伴い、会社全体のスプレッドは、2015年の158bpsから2016年の141bpsへとさらに低下したが、為替の影響があり、スプレッド収入は1,153百万ポンドから1,171百万ポンドの微増(為替横ばいベースでのスプレッド収入は2015年の1,267百万ポンドから8%減少、以下同様)にとどまった。一方で、手数料収入が1,888百万ポンドから2,175百万ポンドに15%増加(2,118百万ポンドから3%増加)し、保険引受けマージン等が3,493百万ポンドから4,117百万ポンドに19%増加(3,858百万ポンドから7%増加)している。これらは会社の高効率資本商品へのシフト戦略の結果によるものである。
(2017年04月26日「基礎研レポート」)
中村 亮一のレポート
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