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2017年04月25日
欧州大手保険グループの2016年決算状況について(1)-低金利環境下での各社の生命保険事業の地域別の業績や収益状況はどうだったのか-
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(3)投資関係損益を巡る状況
AXAは、投資スプレッドの状況を、会社全体及び主要国別に、保有・新契約ベースで開示している。
金利低下で保有資産利回りは低下してきているが、一方で新契約の保証利率も低下させてきているため、保有契約のスプレッドについては、グループ全体で140bps(2015年160bps、2014年 160bps、以下同様)と、前年に比べて低下したものの、引き続き高い水準を確保している。これから経費等を差し引いた投資マージンは73bps(79bps、80bps)となっている。
なお、AXAの固定利付資産のデュレーションは8.3年(2015年は8.0年)で、長期化を進めてきたことから、この6年間での保有利回りの低下は70bps(4.0%→3.3%)に止まっている、としているが、2015年から2016年の1年間では30bps(3.6%→3.3%)と大きく低下している。
一方で、新契約ベースでは、再投資利回りの低下により、スプレッドは140bps(160bps、230bps)に低下している。
国別に見た場合、例えば、本国のフランスでは、1998年に長期保証付一般勘定貯蓄性商品の新契約販売を停止しており、さらに、貯蓄性商品については、一般勘定における貯蓄性商品から、高い新契約価値を有するユニットリンク型商品へシフトさせてきているため、新契約の平均保証利率は0.0%となっている。この結果として、保有ベースで310bps(320bps、310bps)、新契約ベースで190bps(200bps、240bps)と、引き続き高いスプレッドを確保している。
一方で、ドイツにおいては、平均保証利率が3.4%と高いことから、保有契約のスプレッドは4bps(40bps、40bps)と他の国に比べて、極めて低い水準となっている。ただし、新契約ベースでは、保証水準を低下させた商品を販売してきていることから、110bps(130bps、120bps)のスプレッドを確保している。
AXAは、投資スプレッドの状況を、会社全体及び主要国別に、保有・新契約ベースで開示している。
金利低下で保有資産利回りは低下してきているが、一方で新契約の保証利率も低下させてきているため、保有契約のスプレッドについては、グループ全体で140bps(2015年160bps、2014年 160bps、以下同様)と、前年に比べて低下したものの、引き続き高い水準を確保している。これから経費等を差し引いた投資マージンは73bps(79bps、80bps)となっている。
なお、AXAの固定利付資産のデュレーションは8.3年(2015年は8.0年)で、長期化を進めてきたことから、この6年間での保有利回りの低下は70bps(4.0%→3.3%)に止まっている、としているが、2015年から2016年の1年間では30bps(3.6%→3.3%)と大きく低下している。
一方で、新契約ベースでは、再投資利回りの低下により、スプレッドは140bps(160bps、230bps)に低下している。
国別に見た場合、例えば、本国のフランスでは、1998年に長期保証付一般勘定貯蓄性商品の新契約販売を停止しており、さらに、貯蓄性商品については、一般勘定における貯蓄性商品から、高い新契約価値を有するユニットリンク型商品へシフトさせてきているため、新契約の平均保証利率は0.0%となっている。この結果として、保有ベースで310bps(320bps、310bps)、新契約ベースで190bps(200bps、240bps)と、引き続き高いスプレッドを確保している。
一方で、ドイツにおいては、平均保証利率が3.4%と高いことから、保有契約のスプレッドは4bps(40bps、40bps)と他の国に比べて、極めて低い水準となっている。ただし、新契約ベースでは、保証水準を低下させた商品を販売してきていることから、110bps(130bps、120bps)のスプレッドを確保している。
(4) 新契約の状況
(4-1) 新契約の商品ポートフォリオと新契約価値マージンの推移
グループ全体の新契約商品ポートフォリオの推移と新契約価値マージン(対年換算保険料)は、以下の図表の通りとなっている。
2015年から2016年にかけては、一般勘定保障・医療商品の構成比が45%とさらに高まっている。一方で、一般勘定貯蓄商品の構成比も高まっているが、これは軽資本商品の増加によるものである。このような商品シフトにより、現在のような低金利下においても、販売や収益への影響を相対的に軽減できる対策を講じてきており、その結果として、全体の新契約価値マージンは2015年の34%から2016年は40%へとさらに上昇している。
(4-1) 新契約の商品ポートフォリオと新契約価値マージンの推移
グループ全体の新契約商品ポートフォリオの推移と新契約価値マージン(対年換算保険料)は、以下の図表の通りとなっている。
2015年から2016年にかけては、一般勘定保障・医療商品の構成比が45%とさらに高まっている。一方で、一般勘定貯蓄商品の構成比も高まっているが、これは軽資本商品の増加によるものである。このような商品シフトにより、現在のような低金利下においても、販売や収益への影響を相対的に軽減できる対策を講じてきており、その結果として、全体の新契約価値マージンは2015年の34%から2016年は40%へとさらに上昇している。
(2)地域別の業績-2015年との比較-
2015年との比較では、会社全体では減収増益となっている。
これは、低金利環境下で、自国のドイツやイタリアにおいて、引き続き、保証を制限した高効率資本商品へのシフトを進めたこと等による影響であり、さらに、より高い投資マージンが貢献した、としている。
アジアでの営業利益やMCEVは、2016年12月に韓国の生命保険事業を安邦保険グループに売却し、これに関する損益を非営業利益に計上していること等から、前年のマイナスからプラスに転じている。2015年の韓国での営業利益は▲244百万ユーロであった。また、2015年のアジア・太平洋のMCEVは、韓国を除けば10億ユーロのプラスであったが、それと比べても2割程度増加している。
2015年との比較では、会社全体では減収増益となっている。
これは、低金利環境下で、自国のドイツやイタリアにおいて、引き続き、保証を制限した高効率資本商品へのシフトを進めたこと等による影響であり、さらに、より高い投資マージンが貢献した、としている。
アジアでの営業利益やMCEVは、2016年12月に韓国の生命保険事業を安邦保険グループに売却し、これに関する損益を非営業利益に計上していること等から、前年のマイナスからプラスに転じている。2015年の韓国での営業利益は▲244百万ユーロであった。また、2015年のアジア・太平洋のMCEVは、韓国を除けば10億ユーロのプラスであったが、それと比べても2割程度増加している。
(2017年04月25日「基礎研レポート」)
中村 亮一のレポート
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