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2017年01月16日
EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(4)-EIOPAの報告書の概要報告-
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1―はじめに
これまでの3回のレポートでは、EIOPA(欧州保険年金監督局)が2016年12月16日に公表した「長期保証措置と株式リスク措置に関する報告書2016(Report on long-term guarantees measures and measures on equity risk 2016)」1及び2016年12月15日に公表した「2016 EIOPA保険ストレステスト報告書(2016 EIOPA Insurance Stress Test Report)」2に基づいて、EU(欧州連合)のソルベンシーIIにおける長期保証(Long-Term Guarantees:LTG)措置及び株式リスク措置に関しての保険会社の適用状況やその財政状態に及ぼす影響について、全体的な状況及び措置毎、国別、会社毎の状況の概要を報告した。
今回のレポートでは、EIOPAの前者の報告書の1番目のセクションに記載されている「LTG措置や株式リスク措置が会社の財政状態以外に与える影響」及び3番目のセクションに記載されている焦点の1つである「措置を使用するための承認プロセス」について報告する3。
1 EIOPAのプレス・リリース資料 https://eiopa.europa.eu/Publications/Press%20Releases/2016-12-16%20LTG%20Report_final.pdf
2 EIOPAのプレス・リリース資料 https://eiopa.europa.eu/Publications/Press%20Releases/2016-12-15%20Insurance%20Stress%20Test%20ResultsFinalFinal.pdf
3 これまでのレポートで述べたように、以下の図表及び図表の数値は 、特に断りが無い限り、EIOPAの「長期保証措置と株式リスクに対する措置に関する報告書2016」からの抜粋及び筆者が付け加えた分析数値である。
これまでの3回のレポートでは、EIOPA(欧州保険年金監督局)が2016年12月16日に公表した「長期保証措置と株式リスク措置に関する報告書2016(Report on long-term guarantees measures and measures on equity risk 2016)」1及び2016年12月15日に公表した「2016 EIOPA保険ストレステスト報告書(2016 EIOPA Insurance Stress Test Report)」2に基づいて、EU(欧州連合)のソルベンシーIIにおける長期保証(Long-Term Guarantees:LTG)措置及び株式リスク措置に関しての保険会社の適用状況やその財政状態に及ぼす影響について、全体的な状況及び措置毎、国別、会社毎の状況の概要を報告した。
今回のレポートでは、EIOPAの前者の報告書の1番目のセクションに記載されている「LTG措置や株式リスク措置が会社の財政状態以外に与える影響」及び3番目のセクションに記載されている焦点の1つである「措置を使用するための承認プロセス」について報告する3。
1 EIOPAのプレス・リリース資料 https://eiopa.europa.eu/Publications/Press%20Releases/2016-12-16%20LTG%20Report_final.pdf
2 EIOPAのプレス・リリース資料 https://eiopa.europa.eu/Publications/Press%20Releases/2016-12-15%20Insurance%20Stress%20Test%20ResultsFinalFinal.pdf
3 これまでのレポートで述べたように、以下の図表及び図表の数値は 、特に断りが無い限り、EIOPAの「長期保証措置と株式リスクに対する措置に関する報告書2016」からの抜粋及び筆者が付け加えた分析数値である。
2―LTG措置や株式リスク措置が財政状態以外に与える影響4
UFR(Ultimate Forward Rate:終局フォワードレート)の使用、MA(マッチング調整)、VA(ボラティリティ調整)、TRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)、TTP(技術的準備金に関する移行措置)、ERP(ソルベンシー資本要件に準拠しない場合の回復期間の延長)、ED(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)、DBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)といった8つのLTG措置及び株式リスク措置のうち、報告書ではMA、VA、TFRF、TTPの4つの措置が、保険契約者保護、保険会社の投資、消費者保護と商品の入手可能性及び金融安定性に与える影響について、以下の通り述べている。
1|保険契約者保護への影響
NSAs(National Supeivisory Authorities:国家監督当局)からのフィードバックによれば、LTG措置や株式リスク措置による不適切な資本回避が観察されるケースはなかった。この初期の段階で、LTG措置や株式リスク措置が保険契約者保護に与えるプラス及びマイナスの影響を評価することはできない、としている。
2|保険会社の投資への影響
いまだ観察できる影響は無く、措置による影響を現在の市場の状況やソルベンシーII導入による影響から分離することもできないことから、LTG措置や株式リスク措置が保険及び再保険会社の投資に与える影響について何らかの結論を出すことは時期尚早である、としている。
なお、国毎に、保険及び再保険会社の投資構成に、大きな多様性が観察される、としている。
UFR(Ultimate Forward Rate:終局フォワードレート)の使用、MA(マッチング調整)、VA(ボラティリティ調整)、TRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)、TTP(技術的準備金に関する移行措置)、ERP(ソルベンシー資本要件に準拠しない場合の回復期間の延長)、ED(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)、DBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)といった8つのLTG措置及び株式リスク措置のうち、報告書ではMA、VA、TFRF、TTPの4つの措置が、保険契約者保護、保険会社の投資、消費者保護と商品の入手可能性及び金融安定性に与える影響について、以下の通り述べている。
1|保険契約者保護への影響
NSAs(National Supeivisory Authorities:国家監督当局)からのフィードバックによれば、LTG措置や株式リスク措置による不適切な資本回避が観察されるケースはなかった。この初期の段階で、LTG措置や株式リスク措置が保険契約者保護に与えるプラス及びマイナスの影響を評価することはできない、としている。
2|保険会社の投資への影響
いまだ観察できる影響は無く、措置による影響を現在の市場の状況やソルベンシーII導入による影響から分離することもできないことから、LTG措置や株式リスク措置が保険及び再保険会社の投資に与える影響について何らかの結論を出すことは時期尚早である、としている。
なお、国毎に、保険及び再保険会社の投資構成に、大きな多様性が観察される、としている。
4 LTG措置や株式リスク措置の具体的説明については、「EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(1)-EIOPAの報告書の概要報告-」を参照していただきたい。
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