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- 日銀短観(12月調査)~製造業を中心に景況感は改善したが、先行きに対しては慎重姿勢が目立つ
2016年12月14日
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(中小企業)
中小企業製造業の業況判断D.I.は1で前回から4ポイント改善した。業種別では全16業種中、改善が11業種と、悪化の5業種を上回った。業種別では、大企業同様、市況改善を受けた石油・石炭製品(12ポイント改善)、非鉄金属(10ポイント改善)、円安のメリットを受けやすい電気機械(9ポイント改善)、自動車(11ポイント改善)などで改善が目立った。
先行きについては、横ばいの紙・パを除く15悪化が悪化を見込み、全体では5ポイントの悪化となった。総崩れの様相だが、とりわけ木材・木製品(13ポイント悪化)、石油・石炭製品(11ポイント悪化)で大幅な悪化が見込まれている。
中小企業非製造業のD.I.は2と前回比1ポイント改善した。業種別では全12業種中、改善が7業種と悪化の2業種を上回った(横ばいが2業種)。不動産(5ポイント改善)や通信(5ポイント改善)などが改善する一方、電気・ガス(2ポイント悪化)、対事業所サービス(1ポイント悪化)が悪化した。
先行きは、悪化が9業種と改善の3業種を大きく上回り、全体では4ポイントの悪化となった。建設(7ポイント悪化)、不動産(6ポイント悪化)、宿泊・飲食サービス(6ポイント悪化)などで大幅な悪化が見込まれている。
中小企業製造業の業況判断D.I.は1で前回から4ポイント改善した。業種別では全16業種中、改善が11業種と、悪化の5業種を上回った。業種別では、大企業同様、市況改善を受けた石油・石炭製品(12ポイント改善)、非鉄金属(10ポイント改善)、円安のメリットを受けやすい電気機械(9ポイント改善)、自動車(11ポイント改善)などで改善が目立った。
先行きについては、横ばいの紙・パを除く15悪化が悪化を見込み、全体では5ポイントの悪化となった。総崩れの様相だが、とりわけ木材・木製品(13ポイント悪化)、石油・石炭製品(11ポイント悪化)で大幅な悪化が見込まれている。
中小企業非製造業のD.I.は2と前回比1ポイント改善した。業種別では全12業種中、改善が7業種と悪化の2業種を上回った(横ばいが2業種)。不動産(5ポイント改善)や通信(5ポイント改善)などが改善する一方、電気・ガス(2ポイント悪化)、対事業所サービス(1ポイント悪化)が悪化した。
先行きは、悪化が9業種と改善の3業種を大きく上回り、全体では4ポイントの悪化となった。建設(7ポイント悪化)、不動産(6ポイント悪化)、宿泊・飲食サービス(6ポイント悪化)などで大幅な悪化が見込まれている。
3.需給・価格判断:内外需給はやや改善、マージンは悪化
(需給判断:内外需給はやや改善)
大企業製造業の国内製商品・サービス需給判断D.I.(需要超過-供給超過)は前回比2ポイント上昇、非製造業も1ポイント上昇した。製造業の海外需給も1ポイント上昇している。内外需給ともに小幅ながら改善(引き締まり)がみられる。
先行きについては、国内需給は製造業でこそ横ばいが見込まれているが、非製造業では2ポイント低下。製造業の海外需給も1ポイント低下しており、需給の改善は全く見込まれていない。
中小企業については、国内需給は製造業が前回から3ポイント上昇、非製造業も2ポイント上昇したが、製造業の海外需給は横ばいとなった。先行きについては、国内・海外需給ともにほぼ横ばいに留まっている(図表4)。
(価格判断:仕入れ価格の上昇大きく、マージンは悪化)
大企業製造業の販売価格判断D.I. (上昇-下落)は前回から3ポイント上昇、非製造業でも2ポイント上昇した。一方、仕入価格判断D.I. (上昇-下落)は製造業で7ポイント、非製造業でも5ポイント上昇。資源価格の上昇や最近の円安によって仕入れ価格が大きく上昇しているようだ。
製造業、非製造業ともに、仕入価格D.I.の上昇が販売価格D.I.の上昇を宇和周り、両者差し引き(販売価格-仕入れ価格)であるマージン(利鞘)は前回から縮小している。
販売価格判断D.I.の3ヵ月後の先行きについては、製造業では1ポイント上昇、非製造業では1ポイント低下と小動きが見込まれている。一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で6ポイント上昇、非製造業でも2ポイントの上昇が見込まれているため、マージンはさらに縮小に向かうことが想定されている(図表5)。
中小企業の販売価格判断D.I.は製造業で前回比4ポイント上昇、非製造業も1ポイント上昇した。一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で7ポイント、非製造業でも4ポイントと大きく上昇したため、差し引きであるマージンは、それぞれ縮小している。
先行きについても、販売価格D.I.が製造業で横ばい、非製造業では1ポイント上昇と小動きが見込まれている一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で11ポイント上昇、非製造業で6ポイント上昇と、それぞれ大きく上昇しており、大企業以上に、マージンのさらなる縮小が見込まれている。
大企業製造業の国内製商品・サービス需給判断D.I.(需要超過-供給超過)は前回比2ポイント上昇、非製造業も1ポイント上昇した。製造業の海外需給も1ポイント上昇している。内外需給ともに小幅ながら改善(引き締まり)がみられる。
先行きについては、国内需給は製造業でこそ横ばいが見込まれているが、非製造業では2ポイント低下。製造業の海外需給も1ポイント低下しており、需給の改善は全く見込まれていない。
中小企業については、国内需給は製造業が前回から3ポイント上昇、非製造業も2ポイント上昇したが、製造業の海外需給は横ばいとなった。先行きについては、国内・海外需給ともにほぼ横ばいに留まっている(図表4)。
(価格判断:仕入れ価格の上昇大きく、マージンは悪化)
大企業製造業の販売価格判断D.I. (上昇-下落)は前回から3ポイント上昇、非製造業でも2ポイント上昇した。一方、仕入価格判断D.I. (上昇-下落)は製造業で7ポイント、非製造業でも5ポイント上昇。資源価格の上昇や最近の円安によって仕入れ価格が大きく上昇しているようだ。
製造業、非製造業ともに、仕入価格D.I.の上昇が販売価格D.I.の上昇を宇和周り、両者差し引き(販売価格-仕入れ価格)であるマージン(利鞘)は前回から縮小している。
販売価格判断D.I.の3ヵ月後の先行きについては、製造業では1ポイント上昇、非製造業では1ポイント低下と小動きが見込まれている。一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で6ポイント上昇、非製造業でも2ポイントの上昇が見込まれているため、マージンはさらに縮小に向かうことが想定されている(図表5)。
中小企業の販売価格判断D.I.は製造業で前回比4ポイント上昇、非製造業も1ポイント上昇した。一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で7ポイント、非製造業でも4ポイントと大きく上昇したため、差し引きであるマージンは、それぞれ縮小している。
先行きについても、販売価格D.I.が製造業で横ばい、非製造業では1ポイント上昇と小動きが見込まれている一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で11ポイント上昇、非製造業で6ポイント上昇と、それぞれ大きく上昇しており、大企業以上に、マージンのさらなる縮小が見込まれている。
(2016年12月14日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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