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オフィス賃料は反発も、インバウンド需要のピークアウトが商業施設、ホテルに影響~不動産クォータリー・レビュー2016年第3四半期~
増宮 守
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首都圏では、第3四半期に4施設の竣工による9万坪強が新規供給され、過去4四半期の新規供給の合計が40万坪を超えた。概して、旺盛な新規需要に支えられてはいるものの、都心から離れた圏央道エリアでは、空室率が2割以上に上昇している。一旦、大量供給のピークは過ぎ、今後は需給の改善が期待されるものの、2017年第2四半期以降、再び新規供給が増加する。
タイトな需給が続いていた大阪圏でも、第3四半期に2施設の竣工による約8万坪が新規供給され、大量供給局面を迎えた。今後も、大規模な新規供給が続き、空室率の上昇が進むと見込まれる。
首都圏、大阪圏ともに、2018年まで大量供給局面は続き(図表-25、26)、今後の空室率上昇、賃料動向は、需要拡大のペース次第といえる。概して、インターネット通販事業の急成長が続き、物流施設需要の拡大が大量供給を吸収できるとの見方は多い。しかし、労働力確保の面など、物流施設のオペレーション環境は難化しており、個別の立地やスペック競争力に対する選別が厳しくなっている。既に圏央道エリアで顕在化しているように、特定のエリアや時期に需給が悪化し、賃料の引き下げが顕著になるケースが増えるとみられる。
4.J -REIT(不動産投信)・不動産投資市場
J-REITによる第3四半期の物件取得額(引渡しベース)は5,263億円で(前年同期比+39%)、1-9月累計では1兆4,634億円(前年同期比+12%)となった(図表-28)。国内市場の取引額が減少傾向にあるなか、J-REITの物件取得は高水準にある。また、今期は4社が新規上場する一方、合併により2社が消滅し、上場銘柄数は56社となった。
J-REITの分配金は引き続き増加しており、順調な外部成長と金融コストの圧縮に加え、オフィスビルの収益回復がプラスに寄与している。J-REITが保有する継続比較可能な全国507棟のビルの賃貸事業収益(NOI)を集計すると、昨年下期(7-12月決算)は前期比0.8%、今年上期(1-6月決算)は前期比1.6%で、1年間で2.4%増加した(図表-29)。また、オフィス型REIT最大手の日本ビルファンド投資法人の決算資料によると、既存ビルの賃料収入は、入居テナントとの賃料増額改定を中心に、少なくとも今後1年は増加する見込みである。運用不動産の4割以上を占めるオフィスセクターが収益拡大局面を迎えたことで、当面はJ-REITの増益基調が続くと見込まれる。もっとも、その先のオフィス市況には不透明感も強まっており、J-REIT 各社には、今後、市況の追い風が止まった際にも収益を高めるマネジメントを期待したい。
4 増宮 守「不動産価格サイクルの先行的指標(2016年)~大半の指標がピークアウトを示唆~」ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2016年10月13日
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(2016年11月08日「不動産投資レポート」)
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