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- 需給環境の改善が続く大阪オフィス市場-活発な需要に加え新規供給の少なさが市況改善に貢献
2016年11月07日
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5. 大阪のオフィス賃料見通し
5 推計で利用した経済成長率は以下の経済見通しを参照して設定した。ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2016~2026年度)」(2016.10.14)。
6 2016年3月に発行した竹内一雅「大阪オフィス市場の現況と見通し(2016年)」(2016.3.4、ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート)では、2017年に賃料のわずかな低下(調整)が予測されていたが、今回の予測では、2017年4月の消費増税が2019年10月に延期されることと、最近のオフィス需要の強さと供給の少なさなどから賃料の調整は発生しないという推計結果が得られた。
6. おわりに
大阪のオフィス市況は需要が強い状況が続いている。館内増床が多く、域外や自社ビルからの移転も引き続き見られる。一方、募集賃料の上昇が梅田地区などに限定されることもあり、賃貸ビルオーナーの景況感や見通しは必ずしも楽観的ではなく、それが新規開発の少なさや、築古ビルなどの建て替え先をホテルやマンションとする理由ともなっており、これらが中小ビル等のストック調整を進め、空室率をさらに低下させている。
今後については、2017年4月の消費税増税が2019年10月に延期されたことにより、2017年から2018年の市況悪化は回避されたと考えている。2017年に竣工するフェスティバルタワー・ウェストでは順調にテナントの内定が進んでいるといわれるなど、既に公表されている新規供給計画による市況悪化への影響は小さく、2020年までは成約賃料の上昇が続くと考えられる。オフィス市況の改善傾向が明確になりつつあるため、募集賃料の底打ちが明らかになれば、中規模ビルなどの開発計画が再開する可能性も高い。
こうした楽観的な見通しの背景には、堅調な経済状況が続くと考えられることや(図表-16)、人手不足の継続などがある。大阪市内の中小企業の2016年夏期ボーナスの支給状況を見ても、支給額は前年比で+0.51%の伸びと、5年連続での上昇となっている(図表-18)。ただし、支給企業の比率は昨年の62.9%から61.6%へと減少しており、非支給企業を含めた平均支給額は▲1.6%と4年振りの減少となった。円高の進展などにともなう企業業績の悪化により、企業のオフィス需要が最近の急増からブレーキが踏まれるようであれば、本稿における予測よりも賃料上昇は下押しされる可能性がある。
今後については、2017年4月の消費税増税が2019年10月に延期されたことにより、2017年から2018年の市況悪化は回避されたと考えている。2017年に竣工するフェスティバルタワー・ウェストでは順調にテナントの内定が進んでいるといわれるなど、既に公表されている新規供給計画による市況悪化への影響は小さく、2020年までは成約賃料の上昇が続くと考えられる。オフィス市況の改善傾向が明確になりつつあるため、募集賃料の底打ちが明らかになれば、中規模ビルなどの開発計画が再開する可能性も高い。
こうした楽観的な見通しの背景には、堅調な経済状況が続くと考えられることや(図表-16)、人手不足の継続などがある。大阪市内の中小企業の2016年夏期ボーナスの支給状況を見ても、支給額は前年比で+0.51%の伸びと、5年連続での上昇となっている(図表-18)。ただし、支給企業の比率は昨年の62.9%から61.6%へと減少しており、非支給企業を含めた平均支給額は▲1.6%と4年振りの減少となった。円高の進展などにともなう企業業績の悪化により、企業のオフィス需要が最近の急増からブレーキが踏まれるようであれば、本稿における予測よりも賃料上昇は下押しされる可能性がある。
(2016年11月07日「不動産投資レポート」)
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