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- 大阪オフィス市場の現況と見通し(2016年)
大阪のオフィス市場では、比較的堅調な需要増加が続く中で、2014年から2年続けて低水準の賃貸オフィス供給が続いてきた。今後についても2016は新規供給がなく、2017年と2018年も新規供給量は大きくないため、当面の供給圧力は高くないと考えられる。本稿では、最近の大阪のオフィス市場の現況把握とともに、2022年までの賃料予測を行う。
■目次
1. はじめに
2. 大阪のオフィス空室率・賃料動向
3. 大阪のオフィス需給と地区別動向
4. 大阪の新規供給・人口見通し
5. 大阪のオフィス賃料見通し
6. おわりに
1. はじめに
1 過去の大阪オフィス市況に関するレポートとしては、竹内一雅「さらなる需要拡大が期待される大阪オフィス市場-自社ビル竣工により拡大する空室の解消が当面の課題」(2016.10.28)ニッセイ基礎研究所、竹内一雅「大阪オフィス市場の現況と見通し(2015年)」(2015.3.3)ニッセイ基礎研究所などを参照のこと。
2. 大阪のオフィス空室率・賃料動向
成約賃料は2012年下期から上昇傾向にあり、特に2015年に賃料は大きく上昇した(図表-2)。三幸エステートと共同で開発しているオフィスレント・インデックスによると、2014年下期から2015年下期の賃料上昇率は+18.3%と高かった。最近の底値(2012年下期)と比べると+39.9%の上昇で、ファンドバブル期ピークの84.5%の水準に回復している。
三鬼商事によると、大阪ビジネス地区4の新築ビルの空室率は、1月の2.45%から、3月には新築ビルの竣工などにより26.0%にまで大幅に上昇したが、その後は、テナントの新築ビル・築浅ビルへの嗜好の強さなどから順調に低下している5(図表-4)。2015年の主な新築ビルの稼働率は9割を上まわり、グランフロント大阪の稼働率も85%を越えてきたようだ。
2015年末時点の大阪ビジネス地区の空室面積は16.4万坪で、直近のピークである2010年(25.2万坪)から▲35.0%の減少となった(図表-5)。
2 2015年に供給された主な自社ビルとしては日本生命本店東館、田辺三菱製薬本社ビル、阪和興業本社ビル(HK淀屋橋ガーデンアベニュー)、KDDI大阪第二ビルなどがあり、自社ビル供給による空室面積の増加は1万5千坪と見積もられている。
3 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
4 三鬼商事の定義による。大阪の主要6地区(梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大阪地区)からなり、空室率等の調査対象はこの地区に立地する延床面積1千坪以上の主要賃貸事務所ビル。
5 三幸エステートと三鬼商事では空室の定義に違いがあるため、新築自社ビルへの移転に伴う空室率の影響が現れる時期に相違がある。三鬼商事の空室は募集ベースであり、三幸エステートの空室率の算定は現空ベース(すぐに入居できる空室)である。このため、三鬼商事の空室率では、2月から新築自社ビルへの移転による影響が出ている。
3. 大阪のオフィス需給と地区別動向
6 前年(2014年)は建替え等の募集停止による賃貸可能面積の減少が大きかったことが空室面積の減少に大きく貢献した。
7 既存ビルでの需要増加面積は、新築の自社ビルに転出した分を差し引いた結果であるため。これらの転出がなければ既存ビルの一年間の増加分としては、1996年や2005年に匹敵し1991年以降で最大規模の増加になっていたようだ。
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