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- 地方公共団体の財政健全化について~「平成27年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率の概要(速報)」について~
2016年10月04日
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1――健全化判断比率とは、地方公共団体の財政状況の判断指標
総務省は9月30日に「平成27年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率の概要(速報)」を公表した。当概要は、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(以下、健全化法)」に基づき、地方公共団体(都道府県、市町村及び特別区)が算定した健全化判断比率・資金不足比率を総務省がとりまとめたものであり、例年9月末に速報、11月末に確報が公表されている。
健全化法では、地方公共団体の自主的な財政健全化を促す目的で、4種類の健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)と資金不足比率が定められ、それぞれに対して2つの基準(早期健全化基準、財政再生基準)が設定されている1。これらをもって地方公共団体が自らの財政状況を客観的に評価し、指標の改善に向けた取組を促す点に大きな意義がある。
健全化法では、地方公共団体の自主的な財政健全化を促す目的で、4種類の健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)と資金不足比率が定められ、それぞれに対して2つの基準(早期健全化基準、財政再生基準)が設定されている1。これらをもって地方公共団体が自らの財政状況を客観的に評価し、指標の改善に向けた取組を促す点に大きな意義がある。
地方公共団体は、健全化判断比率の4指標のいずれかが早期健全化基準(いわゆるイエローカード)、さらには財政再生基準(いわゆるレッドカード)以上となった場合には、財政健全化計画もしくは財政再生計画の策定及び公表、総務大臣・都道府県知事への報告と当該計画の着実な実施が必要となる。また、資金不足比率が経営健全化基準以上となった場合も同様に、経営健全化計画を定め、実施しなければならない。
なお、4種類の健全化判断比率と資金不足比率はそれぞれ集計対象が異なっており、特に健全化判断比率は地方公共団体だけではなく、地方公共団体によって設立された公営企業や第三セクターも対象としているのが特徴である。例えば、将来負担比率では「一部事務組合・広域連合」や「地方公社・第三セクター」に由来する一部負担額も含めて一般会計の将来負担額を評価するなど、健全化判断比率では地方公共団体の財政の全体像を明らかにする一方で、資金不足比率では公営企業にのみ焦点をあてている点で大きな違いがある2。したがって、地方公共団体の財政状況について論じるうえで、以下、健全化判断比率を中心に取り上げる。
1 将来負担比率では、早期健全化基準のみが設定されている。また資金不足比率では、経営健全化基準(早期健全化基準に相当する基準)のみが設定されている。
2 連結実質赤字比率には、公営企業の資金不足額も集計されている
なお、4種類の健全化判断比率と資金不足比率はそれぞれ集計対象が異なっており、特に健全化判断比率は地方公共団体だけではなく、地方公共団体によって設立された公営企業や第三セクターも対象としているのが特徴である。例えば、将来負担比率では「一部事務組合・広域連合」や「地方公社・第三セクター」に由来する一部負担額も含めて一般会計の将来負担額を評価するなど、健全化判断比率では地方公共団体の財政の全体像を明らかにする一方で、資金不足比率では公営企業にのみ焦点をあてている点で大きな違いがある2。したがって、地方公共団体の財政状況について論じるうえで、以下、健全化判断比率を中心に取り上げる。
1 将来負担比率では、早期健全化基準のみが設定されている。また資金不足比率では、経営健全化基準(早期健全化基準に相当する基準)のみが設定されている。
2 連結実質赤字比率には、公営企業の資金不足額も集計されている
2――早期健全化基準以上の団体数はここ数年、1団体で変わらず
(2016年10月04日「基礎研レター」)
神戸 雄堂
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