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- 若年層の経済格差と家族形成格差~増加する非正規雇用者、雇用形態が生む年収と既婚率の違い
2016年09月08日
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■要旨
- 長らく続く景気低迷を背景に、若い世代ほど、同じ年齢であっても非正規雇用者が増えており、新卒時点の労働市場の状況が、その後のキャリアに継続的に影響を与える「世代効果」の負の影響が見える。
- 正規雇用者と非正規雇用者の年収差は、特に男性で大きく、年齢とともに拡大。40代後半の男性では正規雇用者の年収は非正規雇用者の2倍以上。20~30代非正規男性の平均年収は300万円未満。非正規女性はいずれも250万円未満。
- 年収300万円未満層は、男性では20代で263万人(雇用者の54.6%、正規雇用者の45.2%、非正規雇用者の79.5%)、30代男性で135万人(同様に20.4%、14.5%、62.4%)、40代男性で88万人(同様に12.1%、7.5%、59.4%)と推計。
- 男性では年収と既婚率は比例。年収300万円あたりで既婚率は上昇し、「家族形成の壁」がうかがえる。雇用形態や年収による経済格差は家族形成格差につながっている。
- 若年層の雇用環境の改善に向けては、「同一労働同一賃金」の検討に期待したいが、目の前の賃金だけでなく各種手当や、5年先・10年先の安定性も必要。「女性の活躍促進」のように何らかの数値目標を設定した上で、安定した雇用への転換を促す政策も必要。
■目次
1―はじめに
2―若年層の非正規化と年収格差
1|非正規雇用者の割合の推移~90年代以降、急増
2|世代別に見た非正規雇用者の割合
~若い世代ほど同年齢でも非正規が多い、「世代効果」の負の影響
3|雇用形態別に見た平均年収
~特に男性で年齢とともに差が拡大、若年非正規は年収300万円以下
4|雇用形態別に見た年収階層別の雇用者数分布
~年齢とともに正規で2つの分布、ピークは高い位置へ
5|年収300万円未満層の人口・雇用者比率
~20代男性263万人・雇用者の過半数、非正規では約8割
3―若年層の家族形成格差
1|男性の年収と既婚率の関係
~年収300万円あたりの結婚の壁にぶつかる20~30代男性は約400万人
2|雇用形態別に見た婚姻・恋愛の状況
~20~30代非正規男性の既婚率は約5%、交際相手なしが8割
4――おわりに
(2016年09月08日「ニッセイ景況アンケート」)
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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