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- 【東南アジア経済】ASEANの消費者物価(8月号)~食品価格に頭打ち感、インフレ圧力は一層鈍化
2016年08月24日
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主要品目別に見ると、7月はレバラン(断食明け大祭)があったものの、食品・飲料が同3.8%増(前月:同4.2%増)と低下した。食品・飲料の内訳を見ると、肉類(同7.0%増)こそ上昇したものの、高い伸びが続いた野菜(同6.3%増)や海産食品(同6.0%増)、果物(同4.5%増)が低下した。また運輸は同9.9%減(前月:8.5%減)、通信は同2.3%減(同2.2%減)とそれぞれ低下した。一方、酒類・タバコは同19.9%増と、昨年11月のタバコ税と今年3月の酒税の見直しによって高水準となった。このほか住宅・光熱は同2.4%増と、前月から横ばいとなった。
食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同2.0%増(前月:同2.1%増)と、僅かに低下した。
中央銀行は7月13日の会合で16年のインフレ予想を従来の2.5-3.5%から2.0-3.0%に下方修正し、7年ぶりに政策金利を0.25%引き下げている。

主要品目別に見ると、住宅・光熱費は同4.3%減(前月:同4.2%減)と、電気料金の減少幅こそ縮小しているものの、住宅価格が引き続き軟調で低下した。また運輸は同3.5%減(前月:同4.3%減)と、車両購入権価格の下落が和らいだために2ヵ月連続で上昇した。このほか食品(同2.1%増)は横ばいとなり、安定した伸びが続いている。一方、衣類・履物は同1.8%減(前月:同0.2%減)とグレート・シンガポール・セールの大幅値引きによって2ヵ月ぶりに減少した。またサービス価格(同1.6%増)は教育サービスが上昇した一方で娯楽・文化が低下したことから前月から横ばいとなった。
自動車と住宅を除いたMAS(シンガポール金融管理局)のコアCPI上昇率は同1.0%増(前月:同1.1%増)と、9ヵ月ぶりに低下した。
MASは原油安の一巡でインフレ率が4-6月期に底打ちして上昇するものの、2016年は▲0.1%~0.0%の低水準になると予測している。

主要品目別に見ると、全体の4割を占める食品・飲料(酒類除く)が同2.7%増(前月:同2.9%増)と、干ばつの影響が和らいだ野菜を中心に低下した。また運輸は同0.1%減(前月:同0.1%減)と引き続き低迷した。一方、住宅・水・電気・ガス・燃料は同0.2%減(前月:同0.4%減)と、電気料金や建設資材価格の上昇によってマイナス幅が縮小したほか、娯楽・文化は同1.8%増(前月:同1.7%増)と小幅に上昇した。
食品とエネルギーの一部を除いたコアCPI上昇率は同1.9%増と、前月の同1.9%から横ばいとなった。
インフレ率は昨年後半から上昇して中央銀行のインフレ目標(2~4%)の下限まで迫っているが、中央銀行は物価上昇が2017年1-3月期の3%程度で頭打ちし、その後はインフレ目標の下方で推移すると予測しており、当面は現行の金融政策を据え置くものと見られる。

主要品目別に見ると、食品が同2.6%増と、前月(同2.6%増)からは横ばいだったものの、引き続き干ばつや塩害、魚の大量死の影響でCPI全体の伸びを上回った。また運輸は同9.3%減(前月:同10.2%減)と、7月のガソリン価格が値下げされたものの、前年対比では上昇した。このほか保健・ヘルスケアは同26.2%増と、3月からの医療費の値上げの影響を受けて引き続き高い伸びとなった。一方、住宅・建材は同1.8%増(前月:同1.9%増)と小幅に低下した。
また食料品とエネルギー、政府の価格統制品目(医療・教育)を除いたコアCPI上昇率は同1.9%増(前月:同1.9%増)となり、年明けから概ね横ばい圏の推移が続いている。
(2016年08月24日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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