- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- ライフデザイン >
- 「カーナビ」時代の人生ドライブ-アナログ地図とデジタル地図
コラム
2016年07月26日

文字サイズ
- 小
- 中
- 大
これまで地図といえば紙に印刷した「アナログ地図」が中心だった。今ではパソコンやスマホでみる地図はほとんど「デジタル地図」だ。日々社会が変化するなかで、地図の更新や大量の情報を扱うにはデジタル地図は非常に有効だ。利用者にとっては拡大・縮小が自由自在、見たい場所へ瞬時に移動でき、移動ルートや施設検索も容易だ。さらに位置情報が加わった「ナビ機能」はとても便利である。
最近では、多くの車にカーナビが装着されている。どこに行くにも、目的地を入力し、ナビの指示通りに運転すれば、だれでも道をまちがえずに到着できる。行楽地から自宅へ帰るときも、最寄りの高速道路のインターチェンジ入口へ的確に誘導、首都高速道路のような複雑な路線も迷うことがない。ひとたびこの利便性を手に入れると、カーナビなしのドライブは不安になってしまう。
昔のドライブはアナログの道路地図が頼りだった。出発地から目的地までの道路の路線番号を調べ、運転中は道路標識を見落とさないように必死だった。だが、「カーナビ」時代のドライブは運転ルートはあまり関係がなく、単なる点と点をむすぶ移動手段に過ぎなくなった。その結果、ドライブ自体の楽しみは半減したような気がする。それは移動自体がひとつの目的である個人旅行が、移動が手段であるビジネス出張になったようなものかもしれない。
一方、カーナビの技術進歩は著しい。地図情報の自動更新はもちろん、カーナビでグーグルマップが使えるようになってきた。カーナビのデジタル地図は、運転ルートや渋滞情報の表示にとどまらず、周辺の施設情報や映像等も提供する巨大なデータベースと化している。さらに将来は人間に代わってAI(人工知能)による自動運転の可能性も広がり、その活用方法はますます重要になるだろう。
しかし、文書をワープロソフトで作成することが一般的になり、漢字が正確に書けなくなったのと同様に、カーナビに依存し過ぎると、自力での車の運転が難しくなるかもしれない。また、カーナビの画面は移動にともない地図自体がスクロールされる自分中心の“天動説”表示だ。常に小さな画面のなかで現在地を中心に表示されるので、情報が分断化され、全体像が見えにくくなる恐れもある。
膨大な情報にあふれた現代社会を生きるためには、主体的なデータ活用が求められる。前例のない長寿社会の人生ドライブにおいて、われわれは「ナビ機能」を巧く使いつつも、日々の経過や主体的な判断がとても大切だ。人生の途中のさまざまな出来事を楽しみながら幸せな最期を迎えるためには、「アナログ地図」を片手に、ベネチアのような魅力ある迷路の街歩きを楽しむことも忘れてはならない。
最近では、多くの車にカーナビが装着されている。どこに行くにも、目的地を入力し、ナビの指示通りに運転すれば、だれでも道をまちがえずに到着できる。行楽地から自宅へ帰るときも、最寄りの高速道路のインターチェンジ入口へ的確に誘導、首都高速道路のような複雑な路線も迷うことがない。ひとたびこの利便性を手に入れると、カーナビなしのドライブは不安になってしまう。
昔のドライブはアナログの道路地図が頼りだった。出発地から目的地までの道路の路線番号を調べ、運転中は道路標識を見落とさないように必死だった。だが、「カーナビ」時代のドライブは運転ルートはあまり関係がなく、単なる点と点をむすぶ移動手段に過ぎなくなった。その結果、ドライブ自体の楽しみは半減したような気がする。それは移動自体がひとつの目的である個人旅行が、移動が手段であるビジネス出張になったようなものかもしれない。
一方、カーナビの技術進歩は著しい。地図情報の自動更新はもちろん、カーナビでグーグルマップが使えるようになってきた。カーナビのデジタル地図は、運転ルートや渋滞情報の表示にとどまらず、周辺の施設情報や映像等も提供する巨大なデータベースと化している。さらに将来は人間に代わってAI(人工知能)による自動運転の可能性も広がり、その活用方法はますます重要になるだろう。
しかし、文書をワープロソフトで作成することが一般的になり、漢字が正確に書けなくなったのと同様に、カーナビに依存し過ぎると、自力での車の運転が難しくなるかもしれない。また、カーナビの画面は移動にともない地図自体がスクロールされる自分中心の“天動説”表示だ。常に小さな画面のなかで現在地を中心に表示されるので、情報が分断化され、全体像が見えにくくなる恐れもある。
膨大な情報にあふれた現代社会を生きるためには、主体的なデータ活用が求められる。前例のない長寿社会の人生ドライブにおいて、われわれは「ナビ機能」を巧く使いつつも、日々の経過や主体的な判断がとても大切だ。人生の途中のさまざまな出来事を楽しみながら幸せな最期を迎えるためには、「アナログ地図」を片手に、ベネチアのような魅力ある迷路の街歩きを楽しむことも忘れてはならない。
(2016年07月26日「研究員の眼」)
土堤内 昭雄
土堤内 昭雄のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2018/12/20 | 「定年退社」します!-「生涯現役」という人生の「道楽」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/11/28 | 「人生100年時代」の暮らし方-どう過ごす?! 定年後の「10万時間」 | 土堤内 昭雄 | 基礎研レポート |
2018/11/27 | 「平成」の30年を振り返って-次世代へのメッセージは、「レジリエントな社会づくり」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/10/23 | 「幸せ」実感できぬ社会-豊かな時代のあらたな課題 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年03月28日
新NISAの現状 -
2025年03月28日
トランプ政権2期目の移民政策-強制送還の大幅増加は景気後退懸念が高まる米経済に更なる打撃 -
2025年03月28日
就労世代の熱中症リスクと生活習慣~レセプトデータと健診データを使った分析 -
2025年03月28日
コミュニティ賃貸の推進に向けて-対人不安を踏まえた段階的参加の仕組みづくり- -
2025年03月28日
サステナビリティに関する意識と消費者行動2024(3)-消費者のサステナ意識・行動ギャップを解く4つのアプローチ
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【「カーナビ」時代の人生ドライブ-アナログ地図とデジタル地図】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「カーナビ」時代の人生ドライブ-アナログ地図とデジタル地図のレポート Topへ