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- 昭和戦後の主力商品-定期付養老保険、定期付終身保険を経て商品多様化の時代へ
2016年07月25日
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■要旨
明治から昭和戦前までの主力商品については、小著「明治から昭和戦前の主力商品終身保険から養老保険へ」で紹介したが、本稿はその続編である。
昭和戦後の主力商品としては、定期付養老保険、定期付終身保険を経て、現在の販売商品は、がん保険や医療保険などの第三分野商品も含め、多様化している。
本稿ではこうした戦後の主力商品の変遷について紹介することとしたい。
■目次
1――はじめに
2――戦後の生保会社の復興
3――定期付養老保険の主力商品化と個人年金保険の販売
4――外資系生保会社の進出
5――定期付終身保険の主力商品化
6――現在の主力商品
明治から昭和戦前までの主力商品については、小著「明治から昭和戦前の主力商品終身保険から養老保険へ」で紹介したが、本稿はその続編である。
昭和戦後の主力商品としては、定期付養老保険、定期付終身保険を経て、現在の販売商品は、がん保険や医療保険などの第三分野商品も含め、多様化している。
本稿ではこうした戦後の主力商品の変遷について紹介することとしたい。
■目次
1――はじめに
2――戦後の生保会社の復興
3――定期付養老保険の主力商品化と個人年金保険の販売
4――外資系生保会社の進出
5――定期付終身保険の主力商品化
6――現在の主力商品
1――はじめに
明治から昭和戦前までの主力商品は、近代的生命保険会社として1881年7月に創業された明治生命(現明治安田生命)、1888年3月に創業された帝国生命(現朝日生命)、1889年7月に創業された日本生命など、いずれも当初は終身保険であったが、明治後期には終身保険から養老保険への主力商品のシフトが進んだ。
すなわち、1890(明治23)年の生保新契約販売は、終身保険が件数ベースで83.0%、金額ベースで85.9%を占めたが、1895(明治28)年には件数ベースで52.8%、金額ベースで59.1%と減少し、翌1896(明治29)年には件数ベースで養老保険が52.0%と逆転した。
以降も主力商品のシフトは進展し、1910(明治43)には養老保険が件数ベースで82.1%、金額ベースで78.9%となり、1915(大正4)年以降、養老保険は件数ベースで9割を超えるに至った1。
1916年10月、官営小口生命保険として創設された簡易保険(現かんぽ生命)においても、当初は終身保険の販売件数が5割を超えていたが、民間生命保険と同様、養老保険へのシフトが進んだ。
戦後は、定期付養老保険、定期付終身保険の主力商品化を経て、現在の販売保険商品は医療保険、がん保険などの第三分野商品も含め各社各様、多様性に富む。
本稿では、昭和戦後の主力商品の変遷について紹介することとしたい。
1 小著「明治から昭和戦前の主力商品 終身保険から養老保険へ」『保険・年金フォーカス』、ニッセイ基礎研究所、2016年4月。http://www.nli-research.co.jp/files/topics/52795_ext_18_0.pdf?site=nli
すなわち、1890(明治23)年の生保新契約販売は、終身保険が件数ベースで83.0%、金額ベースで85.9%を占めたが、1895(明治28)年には件数ベースで52.8%、金額ベースで59.1%と減少し、翌1896(明治29)年には件数ベースで養老保険が52.0%と逆転した。
以降も主力商品のシフトは進展し、1910(明治43)には養老保険が件数ベースで82.1%、金額ベースで78.9%となり、1915(大正4)年以降、養老保険は件数ベースで9割を超えるに至った1。
1916年10月、官営小口生命保険として創設された簡易保険(現かんぽ生命)においても、当初は終身保険の販売件数が5割を超えていたが、民間生命保険と同様、養老保険へのシフトが進んだ。
戦後は、定期付養老保険、定期付終身保険の主力商品化を経て、現在の販売保険商品は医療保険、がん保険などの第三分野商品も含め各社各様、多様性に富む。
本稿では、昭和戦後の主力商品の変遷について紹介することとしたい。
1 小著「明治から昭和戦前の主力商品 終身保険から養老保険へ」『保険・年金フォーカス』、ニッセイ基礎研究所、2016年4月。http://www.nli-research.co.jp/files/topics/52795_ext_18_0.pdf?site=nli
2――戦後の生保会社の復興
第2次世界大戦の敗戦により、わが国の生保事業は、在外資産の喪失と政府の戦時補償の打ち切りなどにより壊滅的打撃を受けた。
1945年8月時点では、生保会社は20社(株式会社17社および第一、千代田、富国徴兵の相互会社3社。このほか、戦争危険の再保険を引き受ける生命保険中央会があり、1945年4月協栄生命を合併)となっていた。
各生保会社は経営再建に向け、「第二会社」を設立した。1947年5月に日本生命株式会社が相互会社を設立したのをはじめとして、ほとんどの会社が相互会社として再スタートした2。
また、戦争により夫を亡くした女性などが営業職員として販売の担い手となり、月払の養老保険の、加入後の保険料集金を前提とした販売(一定地域内での新契約募集と保険料集金を一体化した「デビット・システム」)がメインとなった3。
2 『日本生命70年史』180~181ページ、日本生命、1963年1月、『日本保険業史・総説編』269~272ページ、保険研究所、1968年4月、『生命保険協会70年史』469~471ページ、生命保険協会、1978年12月。
3 『日本生命70年史』226~228ページ、前掲、『明治生命100年史』201~205ページ、明治生命、1981年7月。
1945年8月時点では、生保会社は20社(株式会社17社および第一、千代田、富国徴兵の相互会社3社。このほか、戦争危険の再保険を引き受ける生命保険中央会があり、1945年4月協栄生命を合併)となっていた。
各生保会社は経営再建に向け、「第二会社」を設立した。1947年5月に日本生命株式会社が相互会社を設立したのをはじめとして、ほとんどの会社が相互会社として再スタートした2。
また、戦争により夫を亡くした女性などが営業職員として販売の担い手となり、月払の養老保険の、加入後の保険料集金を前提とした販売(一定地域内での新契約募集と保険料集金を一体化した「デビット・システム」)がメインとなった3。
2 『日本生命70年史』180~181ページ、日本生命、1963年1月、『日本保険業史・総説編』269~272ページ、保険研究所、1968年4月、『生命保険協会70年史』469~471ページ、生命保険協会、1978年12月。
3 『日本生命70年史』226~228ページ、前掲、『明治生命100年史』201~205ページ、明治生命、1981年7月。
(2016年07月25日「保険・年金フォーカス」)
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