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- 【東南アジア経済】ASEAN6ヵ国の消費者物価(5月号)~原油安要因の一巡と干ばつによる食品価格の上昇は継続
2016年05月23日
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主要品目別に見ると、まずガソリン価格の値下げや公共交通機関の運賃値下げ(4月)を受けて交通・通信・金融が同1.52%減(前月:同1.88%増)、住宅・電気・ガス・燃料が同1.45%増(前月:同1.81%増)とそれぞれ低下したことが全体を押下げた。また食材価格の上昇ペースが和らいで食料品(同8.92%増)と加工食品・飲料・タバコ(同6.04%増)がそれぞれ小幅に低下した。
一方、食料品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率については同3.41%増(前月:3.50%増)と7ヵ月連続の低下となった。

主要品目別に見ると、まず食品・飲料は同1.57%増(前月:同0.97%増)と上昇した。これは干ばつによって果物や野菜などの供給が乏しいなか、ソンクラーン(タイ正月)によって食品の需要が増加したために上昇したものと見られる。また交通・通信は同2.85%減(前月の同4.28%減)と、原油価格の底打ちを受けてマイナス幅が縮小してきている。さらにタバコ・酒類は同13.13%増と、2月のタバコの物品税引き上げを受けて二桁増が続いている。一方、住宅・家具は同0.54%減(前月:同0.50%減)と低下した。
また生鮮食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同0.78%増(前月:同0.75%増)と、3ヵ月連続の上昇となった。
インフレ率は昨年後半から上昇傾向にあるものの、依然としてタイ銀行(中央銀行)のインフレ目標の範囲内(1-4%)を下回り、低い水準に止まっている。政府は雨季に入れば農作物の供給量が増えること、また原油価格が現在の水準を大きく上回ることはないとし、2016年は0.0%~1.0%で推移すると予想している。

主要品目別に見ると、食品・飲料が同4.2%増(前月:同5.0%増)、住宅・光熱が同2.6%増(前月:同3.1%増)、その他財・サービスが同2.6%増(前月:5.1%増)とそれぞれ低下した。一方、酒類・タバコは同20.1%増と、昨年11月のタバコ税と今年3月の酒税の見直しによって大幅に上昇し、全体を0.5%ポイント押し上げた。また交通は同5.5%減(前月:同8.2%減)と、4月のガソリン価格の小幅値上げを受けて若干マイナス幅が縮小した。
また食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同2.3%と、前月の同3.6%増から低下した。

主要品目別に見ると、まずウェイトの大きい食品・飲料(酒類除く)が同1.6%増(前月:同1.6%増)、住宅・水・電気・ガス・燃料が同1.5%減(前月:同1.5%減)、交通が同0.0%減(前月:同0.0%減)と、それぞれ横ばいとなった。4月は選挙期間中につき、消費需要が拡大しているものの、コメは輸入量を増やすことで価格上昇が抑えられているようだ。また酒類・タバコが同5.2%増(前月:5.0%増)、飲食店・その他財・サービスが同2.1%増(前月:1.9%増)、娯楽・文化が同1.3%増(前月:同1.1%増)といったように、いくつかの項目では小幅な上昇が見られた。
また食品とエネルギーの一部を除いたコアCPI上昇率は同1.5%増と、前月から横ばいとなった。

主要品目別に見ると、食品が同2.0%増(前月:1.5%増)と、干ばつと塩害の影響や輸出拡大によって値上がりしたコメを中心に上昇した。保健・ヘルスケアは26.8%増と、3月からの医療費の値上げの影響を受けて大幅上昇となった。一方、交通は同11.0%減(前月:同10.3%減)、住宅・建材は同2.1%増(前月:同2.2%増)とそれぞれ低下した。
また食料品とエネルギー、政府の価格統制品目(医療・教育)を除いたコアCPI上昇率は同1.8%増と、前月の同1.6%増から小幅に低下した。年明けから概ね横ばい圏の推移が続いている。
(2016年05月23日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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