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景況見通しが一変、悲観が楽観を上回る~不動産価格のピークは15~18年と見方分かれる~第12回不動産市況アンケート結果

増宮 守
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「不動産投資市場への影響が懸念されるリスク(3つまで選択)」について聞いたところ、「世界経済」が28.1%、「国内景気」が17.9%、「金利」が12.8%、「地政学リスク」が12.5%などとなった(図表-6)。
元来、海外要因の国内不動産投資市場への影響は間接的であるが、今回、「世界経済」が「国内景気」を大きく上回り、また、「地政学リスク」も大幅に増加した。
世界経済については、中国経済の失速懸念に伴い、広く新興国経済の高成長が減速しつつある。世界的にリスク意識が高まる中、グローバル企業のオフィス需要の他、インバウンド顧客への影響も懸念される。また、2014年に大幅拡大した海外資金による国内不動産の取得が再び縮小する可能性もある。
加えて、テロ事件が中東諸国に止まらず、先進国のパリ、あるいはアジアのバンコク、ジャカルタなどでも発生し、日本の不動産市場が影響を受ける可能性も否定できなくなってきた。
一方、国内の不動産投資市場に影響を与える最大の要因である「国内景気」については、今回、当面の悪化懸念は大きくないとして、回答者の2割未満しか選択しなかった。同様に、金融緩和政策の継続を見据え、「金利」を選んだ回答も限定的であった。また、2015年初まで高騰が続いた「建築コスト」(5.1%)についても、最近の動きが落ち着いていることから、懸念する見方は少なかった。
J-REIT市場の見通しとして、「2016年の東証RETI指数の年間騰落率の予想」を聞いたところ、「0~+15%」が67.6%、「-15~0%」が24.3%などとなった(図表-7)。
2016年初から株価が大きく下落しているものの、J-REIT価格の年間騰落率はプラスになるとの見方が多く、また、上下15%以内の価格変動に収まるとする回答が9割以上であった。
J-REIT価格は、2015年に伸び悩み、株式市場をアンダーパフォームしたことから、比較的売られにくい状況となっている。また、J-REITの分配金の安定性と現在の利回り水準に魅力を感じる投資家は多く、下値余地は限定的との見方もある。一方、2015年初にみられたように、価格上昇により一定の分配金利回りの確保が難しくなる際には、J-REIT価格の上値は重くなると考えられる。
「東京の不動産価格のピークはいつごろと考えるか」を聞いたところ、「2015年あるいは現在」が27.9%、「2017年下期~2018年」が27.9%、「2016年~2017年上期」が27.0%などと見方が分かれた(図表-8)。
国内で高額の不動産取引が続いた一方、金融市場で世界的にリスク意識が高まるなか、既にピークとする回答が3割近くに達した。
一方、依然として買い手の取得意欲は強いとして、2018年まで不動産価格の上昇が続くとする回答が合わせて過半数を占めた。その中でも、米国金利の引き上げの影響や来年の消費税率の引き上げを視野に「2016年~2017年上期」を予想する回答と、国内の低金利は当面継続するとして「2017年下期~2018年」を予想する回答の2つに分かれた。
他方、不動産価格にとってプラス要因といえる東京オリンピックについて、実際の開催時期まで不動産価格の上昇が続くとの見方は少なかった。
また、「2021年以降」(3.6%)との回答も少なく、オリンピックを経て東京の国際競争力が向上するという見方や、インフレ対応資産として長期的な不動産価格の上昇を期待する見方は限定的といえる。
(2016年01月25日「不動産投資レポート」)
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