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住宅取得に対する消費税率引き上げの影響-2013、2014年における戸建注文住宅の動向

社会研究部 都市政策調査室長・ジェロントロジー推進室兼任 塩澤 誠一郎
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1――はじめに
ここでは、調査結果から、まず2013、2014年における戸建注文住宅取得層の特徴を捉え、次に、その特徴の背景を、取得費や取得資金等の動向から読み取る。その上で、消費税率の引き上げが、住宅取得にどのような影響を与えたのかを分析する。最後に、消費税率引き上げに伴う負担軽減措置としての「住宅ローン減税」と「すまい給付金」の効果を確認する。
1 調査実施年度の前年1~12月に成約した物件が対象。増改築は除く。対象エリアは、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)、名古屋圏(岐阜、愛知、三重)、大阪圏(京都、大阪、兵庫、奈良、滋賀)、地方都市圏(札幌、仙台、静岡、広島、福岡)である。
2――2013、2014年の戸建注文住宅取得層の特徴とその背景
はじめに、調査結果から2013、2014年に戸建注文住宅を新築した世帯(以下、取得層)の平均像を捉えて、その特徴を示す。図表1-2-1は主な調査項目の結果を示したものである。
(1)世帯主の平均年齢は横ばい、世帯年収は増加
平均世帯主年齢は、2012年が42.1歳に対し、2013年が42.3歳、2014年が42歳でほぼ横ばいである。これに対し、平均世帯年収は2012年の810万円から、2013年が843万円、2014年が851万円と増加している。
(2)従前の住宅は、賃貸住宅が増加
従前の住宅種類では、2012年の「持家戸建」の割合35.5%に対し、2013年は34.6%、2014年は32.7%と低下している。反対に「賃貸住宅」は、2012年の43.7%から、2013年が44.9%、2014年が45.8%と増加している。
(3)建て替えは減少、土地購入・新築が増加
新築の方法では、2012年の「建て替え」2の割合32.9%に対し、2013年が32.7%でほぼ横ばいであるが、2014年は29.6%と前年よりマイナス3.1ポイントの低下となっている。
一方、「新たに土地を購入して、新築(以下、土地購入・新築)」3は、2012年が46.1%、2013年が46.8%、2014年が50.1%と増加している。
初めて持家を取得した一次取得層の割合は、2012年が49.3%、2013年が50.1%、2014年が52.6%と増加しており、特に2014年が前年より2.5ポイントも増加している。(以上図表1-2-1)
したがって、従前住宅で「賃貸住宅」の増加や、「土地購入・新築」が増加したのは、一次取得層が増えたためだと考えられる。
2|戸建注文住宅取得層の年齢別、年収別構成
図表1-2-2は世帯主年齢5歳階級別の構成比を、2012、2013、2014年で比較したものである。調査年によって若干の違いがあるものの、累積度数を見れば分かるとおり、全体の構成はほとんど変わらない。30代の割合が最も高く、例年概ね40歳未満が取得層全体の半数を占めている。
また、40歳未満の平均世帯主年齢は、2012年が33.3歳、2013年が33.3歳、2014年が33.1歳とほとんど変化がない。(図表1-2-3)
一方、平均世帯年収の推移をみると、2012年が707万円、2013年が716万円、2014年が755万円と増加しており、特に2014年は5.5%もの増加である。(図表1-2-4)
そこで以降は、取得層の半数を占める40歳未満に着目して、この層の世帯年収が上昇した背景を中心に分析する。
2 「建て替え」は、従前に居住していた住宅を解体して新たに住宅を新築する形式。
3 「新たに土地を購入して、新築(土地購入・新築)」は、住宅建築のための土地購入が初めてとなるケースを指す。従前の住宅・土地を売却し新たに取得した土地に新築する、買い替えとは別である。
(2015年12月04日「基礎研レポート」)

03-3512-1814
- 【職歴】
1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
2004年 ニッセイ基礎研究所
2020年より現職
・技術士(建設部門、都市及び地方計画)
【加入団体等】
・我孫子市都市計画審議会委員
・日本建築学会
・日本都市計画学会
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