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- 【インドネシア4-6月期GDP】前年同期比+4.7%~物価高止まりと予算執行の遅れで低調な景気~
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インドネシアの2015年4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比(原系列)+4.7%と前期(同+4.7%)から横ばい、市場予想(同+4.6%)を僅かに上回った。輸出は中国向けを中心に3期連続で減少し、内需は政府の公共事業の遅れや物価・金利の高止まりで弱含むなど、力強さに欠ける成長が続いている。また輸入は内需の弱含みと輸入規制強化によって低調であり、貿易収支は今年1月から黒字が定着している。このため経常赤字は縮小傾向にあるが、他の新興国と比べてファンダメンタルが脆弱であることには変わらず、米FRBによる利上げ観測を材料視したルピア売りは続くと見られる。
外需については、昨年1月の未加工鉱石の輸出規制の影響が一巡している上、足元のルピア安によって輸出競争力は向上しているが、中国経済の減速が続くなかでは主力の資源輸出が伸びず、輸出は減少傾向が続いている。
民間部門については、まずGDPの6割弱を占める民間消費が3期連続で+5%を下回っている。ルピア安を背景とした輸入物価の上昇でインフレ率が高止まりしている上、資源価格の低迷によって鉱業部門の雇用・所得環境は悪化している。また投資についても調達コストの増加や成長期待の低下でマインドが悪化し、設備投資を中心に鈍化傾向ある。
政府部門については、2月に成立した補正予算において燃料補助金削減で捻出した財源がインフラ整備など資本支出に充てられたものの、予算の見直しと省庁再編のために今年度の予算執行率は6月時点で約4割と遅れている。特に公共事業省の執行率は約2割に止まる。
先行きは予算執行の加速による政府支出の拡大に加え、住宅と自動車のローン規制の緩和による消費の押上げ効果が見込まれ、景気は下げ止まるだろう。そして燃料補助金削減による物価押上げ要因が一巡する11月頃にはインフレ率が+4%前後まで低下し、消費マインドが改善すると見られる。また物価下落を契機に中央銀行は小幅の利下げに踏み切ると予想され、内需は徐々に力強さを取り戻すと見られる。
(2015年08月05日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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