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- 雇用関連統計15年2月~消費増税を起点とした雇用情勢の悪化は回避
■見出し
・失業率は前月から0.1ポイント低下の3.5%
・消費増税後も雇用情勢の改善基調は崩れず
■要旨
総務省が3月27日に公表した労働力調査によると、15年2月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の3.5%となった。労働力人口が前月から2万人の減少となる中、就業者数が前月から2万人増加したため、失業者数は前月に比べ5万人の減少となった。
失業者数はこのところ230万人前後で横這い圏の動きが続いているが、その内訳を求職理由別(季節調整値)にみると、自発的な離職による者(自己都合)の割合が上昇し、雇用契約の満了や事業の都合といった非自発的離職による者の割合が低下する傾向が続いており、失業の深刻度は和らぐ形となっている。
なお、雇用者数を雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年比58万人増(1月:同31万人増)と増加幅が拡大する一方、非正規の職員・従業員数が前年比▲15万人減(1月:同33万人増)と月次の労働力調査で雇用形態が調査されるようになった14年1月以降(集計開始は13年1月であるため、前年比の算出は14年1月からとなる)では初の減少となった。ただし、労働力調査は月々の振れが大きい統計であるため、今月の結果だけで雇用の非正規化に歯止めがかかったと判断するのは早計だろう。来月以降の動きが注目される。
厚生労働省が3月27日に公表した一般職業紹介状況によると、15年2月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の1.15倍となった。有効求職者数は前月比0.9%(1月:同0.2%)と2ヵ月連続で増加したが、有効求人数が前月比1.4%(2月:同0.6%)とそれを上回る伸びとなった。
消費増税後の景気は個人消費、生産関連を中心に大きく落ち込んだが、雇用情勢は改善傾向を続けている。雇用関連指標は景気の遅行指標であり、前回の消費税率引き上げ時(97年4月)も雇用関連指標が悪化し始めたのは97年秋から98年初め頃にかけてであった。今回は少子高齢化に伴う人手不足という構造的な要因もあって、増税からほぼ1年が経過した現時点でも景気悪化の影響は労働市場にほとんど表れていない。消費増税を起点とした雇用情勢の悪化は回避されたと考えてもよいだろう。
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(2015年03月27日「経済・金融フラッシュ」)
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