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- 【フィリピンGDP】10-12月期は前年同期比+6.9%~財政の後押しで高成長を維持~
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1.10-12月期は前年同期比+6.9%
フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は1月29日、2014年10-12月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比+6.9%の増加となり、前期(同+5.3%)および市場予想(同+6.0%)を大きく上回った。2014年通年の成長率は前年比+6.1%と、前年の同+7.2%の高成長から鈍化し、2014年政府目標の+6.5~7.5%には届かなかった。
2.財政の後押しで高成長を維持
10-12月期の成長率は7%台目前まで大きく改善した。復興の加速による政府消費・建設投資の拡大と主力の電子製品の輸出の改善 が主因となった。先行きの成長率は、引き続き海外出稼ぎ労働者からの送金を頼りに個人消費が堅調に推移するほか、復興需要と予算執行で政府支出・建設投資が牽引役となり、6%台前半の他のASEAN諸国に比べて高い成長が続くと見ている。
海外出稼ぎ労働者の送金(ペソベース)は、先行きも米国の景気回復とドル高ペソ安基調から拡大するほか、原油安による実質所得の増加も個人消費が堅調に推移する要因となるだろう。また、政府支出・建設投資は、ヨランダ復興計画(約1,679億ペソ)、2014年度補正予算(約233億ペソ)、2015年度予算(約2.6兆ペソ、前年比+15.1%)の執行によって拡大すると見込まれる。しかし、懸念材料もある。1月25日に警察とモロ・イスラム解放戦線の武力衝突が起きた。ミンダナオ開発の停滞や企業が投資に及び腰になりかねないだけに、事態が紛糾しないか注目していきたい。
また、金融政策は12月のインフレ率が前年同月比2.7%と、2015年のインフレ目標(2~4%)の範囲内に収まっている。しかし、今後は好景気とペソ安による輸入インフレが見込まれるため、原油価格が反発した段階で再び利上げが視野に入るであろう。従って、当面は資源価格の動向を注視しながら政策金利を現行の緩和的水準で維持することになりそうだ。
(2015年01月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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