- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【フィリピンGDP】7-9月期は前年同期比+5.3%~成長率は鈍化するも、投資・輸出は好調を維持~
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.7-9月期は前年同期比+5.3%
フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は11月27日、2014年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で5.3%の増加となり、前期(同+6.4%)および市場予想 (同+6.5%)を大きく下回った。
7-9月期の海外からの純所得 は前年同期比+2.7%(前期:同+13.8%)と大きく減速し、国民総所得(GNI)は前年同期比+4.8%(前期:同+7.5%)と鈍化した。
2.再び消費が拡大し、高成長軌道に回帰
7-9月期は消費の減速と輸入の増加によって成長率が鈍化したものの、建設投資と設備投資はそれぞれ加速したほか、輸出も好調を維持するなど内容は悪いものではなかった。先行きの成長率は、個人消費・政府支出が再び拡大することで再び6%台に回復していくと予想している。
海外出稼ぎ労働者の送金は、米国の景気回復と来年に予想される米利上げを背景としたドル高(ペソ安)基調が続くことで再び拡大し、個人消費の堅調さを裏付けるものとなるだろう。また、DAPの違憲判決の影響で執行が遅れた予算は補正予算が組まれており、2015年度予算の総額も前年比15.1%増と大幅に拡大(インフラ等の支出は5000億ペソと前年から約1000億ペソ増額)されたため、政府支出は来年から拡大するだろう。また、ミンダナオ島のインフラ整備予算は過去最高の630億ペソ計上され、農地・食品加工場・港湾を結ぶ交通網の整備が予定される。こうした政府によるミンダナオ島開発が呼び水となり、中長期的な民間投資の拡大も期待される。
また、インフレ率については引き続き注意する必要がある。足元で警戒感がやや薄らいでいるものの、インフレ率は依然として来年のインフレ目標(2-4%)を上回る状況が続いている上、先行きのペソ安や電気料金の値上げ、来夏(3-5月)に見込まれる電力不足などがインフレ圧力となる可能性が高い。従って、中央銀行の金融引締めスタンスは継続されるものと見込まれる。
(2014年11月28日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/07 | ベトナム経済:25年4-6月期の成長率は前年同期比7.96%増~駆け込み輸出により製造業が好調 | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/23 | 東南アジア経済の見通し~政策対応で内需は底堅いが、外需は不透明感増し、景気減速へ | 斉藤 誠 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/13 | インド消費者物価(25年5月)~5月のCPI上昇率は+2.8%、食品価格の低下が続いて6年ぶりの低水準に | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/12 | インド株式市場における国内投資家の存在感と資金構造の変化 | 斉藤 誠 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年07月11日
トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 -
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【【フィリピンGDP】7-9月期は前年同期比+5.3%~成長率は鈍化するも、投資・輸出は好調を維持~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【フィリピンGDP】7-9月期は前年同期比+5.3%~成長率は鈍化するも、投資・輸出は好調を維持~のレポート Topへ