2015年01月30日

中国経済~2015年の注目ポイントは?

三尾 幸吉郎

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  1. 中国国家統計局は1月20日に実質GDP成長率を公表、2014年は前年比7.4%増となった。中国政府が設定した2014年の成長率目標は「7.5%前後」だったので、経済が“新常態”に移行したとする中国政府にとっては、ほぼ想定範囲内の結果だったといえるだろう。また、10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比7.3%増と前四半期から横這いだった(下左図)。
  2. 景気動向をより詳細に分析するため景気10指標の動きを見ると、需要が上向きつつあるにも拘らず、製造業を中心に生産活動は停滞している。その背景には製品在庫の積み上がりがあり、製造業は在庫整理を優先して生産を調整したようだ。実際、製品在庫はここ数ヵ月で徐々に減少してきている。但し、依然として製品在庫のレベルが高いことには注意が必要で、特に自動車製造業や金属製品業はまだ高水準なことから、今後の景気下押し要因となりそうだ。
  3. その他、2015年を予想する上で踏まえておきたい事象としては、(1)住宅市場が低迷を続けていること、(2)昨年11月の基準金利の引き下げは金融政策の方向転換ではなかったこと、(3)成長率が鈍化したにも拘らず雇用情勢は依然として良好なこと、(4)株価の急上昇で新たなバブルの芽がでてきたこと、以上の4点である。
  4. 2015年を展望すると、中国経済には3つの景気下押し要因がある。下右図に示した「積み上がった製品在庫」、「住宅市場の低迷」、「財源問題を抱える地方財政」の3つである。また、3月5日に発表が見込まれる成長率目標が注目される。目標とする成長率の水準次第で政策発動の時期が変わってくるからだ。想定どおり「7.0%前後」に設定されれば、15年上期中にも追加利下げを行い、新型都市化も計画が煮詰まったものから順を追って具体化、環境規制と絡めた自動車の買い替え促進策などで、目標の達成を目指すことになるだろう。

中国の実質GDP成長率(前年同期比)/2015年の景気下押し要因と予想される対策

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三尾 幸吉郎

研究・専門分野

(2015年01月30日「Weekly エコノミスト・レター」)

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