2014年11月28日

中国経済見通し~利下げ後の見通し改定

三尾 幸吉郎

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  1. 中国国家統計局が10月に公表した今年1-9月期の実質GDP成長率は、昨年の前年比7.7%増を0.3ポイント下回る前年同期比7.4%増となった(寄与度の内訳は最終消費3.6%、総資本形成3.0%、純輸出0.8%)。今後の中国経済を見る上では、(1)純輸出のプラス寄与が今後も持続するか、(2)住宅販売の低迷は今後も続くか、以上2点が重要なポイントになると考えている。
  2. 中国経済のひとつの牽引役である輸出は10月も前年同月比で2桁の高い伸びを維持している。来年以降も欧米先進国の景気回復は続くと見られることから中国の輸出も回復傾向を維持できると見ている。但し、今年は輸出の伸びに比べて輸入の伸びが低めとなり、純輸出が経済成長率を大きく押し上げたが、来年以降の純輸出は小幅な寄与に戻るだろう。
  3. 個人消費の代表指標である小売売上高は10月も実質で前年同月比10.8%増と7-9月期の前年同期比10.8%増から横這いで推移している。個人所得の向上という追い風に加えて、これまで足を引っ張ってきた腐敗汚職撲滅運動や住宅販売の減少というマイナス要因が徐々に薄れてくることから、来年以降の個人消費はやや上向くと見ている。
  4. 投資の代表指標である固定資産投資は1-10月期に前年同期比15.9%増と昨年の同19.6%増を3.7ポイント下回っており減速している。過剰生産設備を抱える製造業と住宅販売が激減した不動産業の不振が主因である。製造業の減速は来年以降も続きそうだが、不動産業は基準金利の引き下げや新型都市化を受けて来年前半に底打ちし来年後半には緩やかに回復と見ている。
  5. 中国の経済成長率は今後も緩やかに減速し、2014年は前年比7.4%増、2015年は同7.1%増、2016年は同7.0%増と予想する。最終消費は4ポイント弱のプラス寄与を維持するものの、総資本形成は3ポイント台前半で低迷、純輸出は来年以降ゼロ近辺に戻ると思われる(下右表)。
  6. 景気が下ぶれるリスクとしては不動産投資のさらなる落ち込みが挙げられる。住宅市場では値下がりが続いており先行きは楽観できない。下方リスクの火元は不動産周辺になるだろう。
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(2014年11月28日「Weekly エコノミスト・レター」)

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三尾 幸吉郎

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