- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 金融市場の動き(1月号)~原油安に潜む少し先のリスク
2015年01月09日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- (金融市場) 年明けの金融市場は波乱の幕開けとなった。その一因は原油安だ。原油価格はさらに下値を模索する展開も有り得、下がれば下がるほど、その悪影響への懸念も高まるだろう。しかし、現状の低価格が長期間続く可能性は低い。いずれ減産や開発停止の動きが見えてくると予想されるためだ。需給緩和に改善の兆しが見えれば持ち直しのきっかけになる。その際、世界はもう一つのリスクに遭遇するかもしれない。それは現在極めて低水準にある米長期金利の上昇だ。原油価格が上昇に転じると、期待インフレ率上昇を通じた米長期金利上昇が起こるはず。原油価格はボラティリティが高いだけに、オーバーシュートぎみに急上昇し、米長期金利を大きく押し上げる可能性がある。また、そもそも現在の米長期金利は非常に緩やかな利上げペースを織り込んでいるように思える。原油価格反転で期待インフレ率が上昇すれば、利上げのハードルが下がる。市場の観測に見直しが入り、米長期金利が急上昇するルートも考えられる。一昨年半ば、バーナンキ発言を受けた際は、米長期金利が急騰し、米株式市場が動揺、世界株安へと波及した。今後も米長期金利が急上昇すれば、世界の株式市場は影響を免れない。目先は原油価格について、「いつ、どの水準で下げ止まるか」が注目だが、その後は「原油価格がどのようなペースで持ち直すか」「米長期金利への影響はどうなるか」に焦点が移るように思える。2015年の金融市場において原油価格は息の長いテーマになりそうだ。
- (日銀金融政策) 日銀は12月の決定会合で現行の金融政策を維持。景気判断はやや上方修正した。会見では、原油安の中期的な物価押し上げ効果と賃上げの重要性に言及した。
- (金融市場の動き) 12月は引き続き円安が進行、ユーロも対ドルで下落、長期金利は過去最低を更新した。今後もリスクオフ地合いが残ることで、当面のドル円は120円付近、ユーロは低迷、長期金利は横ばい圏内の動きを予想している。
(2015年01月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/21 | 円相場に漂う不気味な気配~マーケット・カルテ4月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/03/21 | 資金循環統計(24年10-12月期)~個人金融資産は2230兆円と前年比86兆円増加も実質では前年割れ、定期預金が純流入に | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/19 | 日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 長期金利の上昇は続くのか?~16年ぶり1.5%到達後の金利見通し | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年03月25日
産業クラスターを通じた脱炭素化-クラスターは温室効果ガス排出削減の潜在力を有している -
2025年03月25日
「大阪オフィス市場」の現況と見通し(2025年) -
2025年03月25日
ヘルスケアサービスのエビデンスに基づく「指針」公表 -
2025年03月25日
日本郵便による非公開金融情報流用事案-保険業法および個人情報保護法の規制 -
2025年03月25日
プレコンセプションケア 男性こそ必要なワケ-男性の生活習慣やストレスは精液所見に影響、加齢は次世代の健康に影響、男性の健康支援も丁寧に-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【金融市場の動き(1月号)~原油安に潜む少し先のリスク】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
金融市場の動き(1月号)~原油安に潜む少し先のリスクのレポート Topへ