- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 消費者物価(全国14年11月)~コアCPI上昇率は15年度入り後に0%台前半へ
■見出し
・コアCPI上昇率(消費税の影響を除く)は2ヵ月連続の1%割れ
・コアCPI上昇率は15年度入り後には0%台前半へ
■要旨
総務省が12月26日に公表した消費者物価指数によると、14年11月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比2.7%(10月:同2.9%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:2.7%、当社予想も2.7%)通りの結果であった。
コアCPIを消費税の影響を除くベースでみると、4月は消費税率引き上げ分以上の値上げが行われたこともあり、前年比1.5%まで上昇率が高まったが、その後は鈍化傾向が続き、11月は前年比0.7%となった。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.10%(10月:0.20%)、食料(生鮮食品を除く)が0.25%(10月:0.27%)、その他が0.33%(10月:0.41%)であった(当研究所試算による消費税の影響を除くベース)。
このところ、円安、原油安が同時進行しているが、当面は原油安による物価下押し圧力が円安による押し上げ圧力を上回る公算が大きい。ガソリン店頭価格は7/14時点の1リットル=169.9円(レギュラー、全国平均)から149.1円(12/22時点)まで1割以上下落しており、消費税の影響を含めてもすでに前年比マイナスとなっている。
ガソリン、灯油の下落率は今後さらに拡大し、消費税率引き上げの影響が一巡する15年4月以降は二桁のマイナスとなる公算が大きい。
一方、電気代、ガス代は燃料費調整が市場価格に遅れて反映されるため、現時点では高止まりしているが、先行きは原油価格の大幅下落が反映されることにより上昇率が徐々に鈍化し、消費税率引き上げの影響が一巡する15年5月以降は前年比でマイナスとなるだろう。この結果、コアCPI上昇率に対するエネルギーの寄与度(消費税の影響を除く)は14年5月の0.68%から11月には0.10%まで縮小したが、15年1月にマイナスに転じた後、5月以降はマイナス幅が▲0.5%を超える可能性が高い。
今後、食料品を中心に円安によるコスト増を価格転嫁する動きが出てくることが見込まれるものの、エネルギー価格下落の影響がそれを大きく上回るため、コアCPI上昇率は14年度末にかけて0.5%程度、15年度入り後には0%前半まで低下することが予想される。
(2014年12月26日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/45_ext_01_0.jpeg?v=1554184776)
03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/07/19 | 消費者物価(全国24年6月)-政策変更に左右される物価上昇率 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2024/07/18 | 貿易統計24年6月-4-6月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2024/07/12 | 建設・物流の「2024年問題」で労働時間はどのくらい減るのか | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/07/08 | リベンジ消費はなぜ不発なのか-過剰貯蓄による押し上げ効果はすでに消滅 | 斎藤 太郎 | ニッセイ基礎研所報 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年07月26日
職場における温度、匂い、音等は、どういう人がシンドイと思っているのか -
2024年07月26日
米GDP(24年4-6月期)-前期比年率+2.8%と前期から大幅上昇、市場予想の+2.0%も大幅に上回る -
2024年07月26日
お金の流れでみる日本経済 -
2024年07月25日
消えた580兆円~住宅投資をしても残高の増加は限定的~日本の住宅投資はなぜ「資産化」しないのか~ -
2024年07月24日
中国経済の現状と注目点-好調は持続せず、不動産不況と貿易摩擦で弱り目に祟り目の中国経済
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【消費者物価(全国14年11月)~コアCPI上昇率は15年度入り後に0%台前半へ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
消費者物価(全国14年11月)~コアCPI上昇率は15年度入り後に0%台前半へのレポート Topへ