- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 環境経営・CSR >
- 今、統合報告書は必要か?(その1)-まずは、「統合思考」と「CSR中期計画」を! !
■目次
はじめに:統合報告書の前にするべきこと
1.今、本当に統合報告書は必要か?(問題提起)
2.IIRCが求める統合報告書とは何か?
3.「統合思考」につながる「本来のCSR」
4.「CSR中計」を作ろう!!
おわりに:次稿の論点
■要約
IIRC(国際統合報告評議会)が2013年12月に公表した「国際統合報告フレームワーク」に基づき、財務と非財務の情報を統合した報告書を発行する企業が世界的に増えている。日本でも2010年頃から増え始め、現時点で2014年版の“統合型”報告書を発行した日本企業は約150社となった。
しかし、今、本当に統合報告書の発行は必要であろうか? このことを企業に自問自答していただくことを提案したい。なぜならば、IIRCの求める財務と非財務の「情報の結合性」の観点からみると、2014年版の日本企業の“統合型”報告書の多くは、結合性が低いと言わざるを得ないからである。
また、財務情報と統合すべき非財務情報は、CSR情報(ESG情報)である。しかし、多くの日本企業は法令順守・社会貢献中心の「日本型CSR」を非財務情報と捉えており、ISO26000が定義する「本来のCSR」を認識する企業は決して多くはない。
そこで、本稿における論点(問題意識)は、以下の2点である。
・財務・非財務の情報を単に合体した“合冊”報告書なら、投資家に対して発行する意味がないのではないか?
・財務情報と統合すべき非財務情報が、「日本型CSR」のままならば、本来の統合報告にはならないのではないか?
企業と投資家(IIRCの言う「財務資本の提供者」)にとって、本質的に統合報告書は必要である。しかし、「バスに乗り遅れるな!」と慌てる必要はないのではないか。それでは、今、何をすべきか。
「統合思考」を報告するのが「統合報告書」である。それゆえ、IIRCが明示するように、まずは「統合思考」の取組と展開が必要である。具体的には、「長期経営ビジョン」と関連づけた「CSR長期ビジョン」とともに、その実行計画たる「CSR中期計画」の策定である。
川村 雅彦
研究・専門分野
(2014年12月19日「基礎研レポート」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月24日
米国でのiPhone競争法訴訟-司法省等が違法な独占確保につき訴え -
2024年04月23日
他国との再保険の監督に関する留意事項の検討(欧州)-EIOPAの声明 -
2024年04月23日
気候変動-温暖化の情報提示-気候変動問題の科学の専門家は“ドラマが少ない方向に誤る?” -
2024年04月23日
今後お金をかけたいもの・金融資産 -
2024年04月23日
今週のレポート・コラムまとめ【4/16-4/22発行分】
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【今、統合報告書は必要か?(その1)-まずは、「統合思考」と「CSR中期計画」を! !】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
今、統合報告書は必要か?(その1)-まずは、「統合思考」と「CSR中期計画」を! !のレポート Topへ