2014年12月01日

法人企業統計14年7-9月期~消費増税後も底堅さを維持する企業部門

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・製造業が大幅増益
・設備投資は堅調を維持
・7-9月期・GDP2次速報は上方修正を予想

■要旨

財務省が12月1日に公表した法人企業統計によると、14年7-9月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比7.6%と11四半期連続の増加となり、4-6月期の同4.5%から伸びを高めた。非製造業は前年比1.4%(4-6月期:同12.1%)と伸びが大きく低下したが、4-6月期に前年比▲7.6%と7四半期ぶりの減益となった製造業が同19.2%と一転して大幅増益となった。
季節調整済の経常利益は前期比1.0%(4-6月期:▲2.7%)と2四半期ぶりの増加となった。非製造業は前期比▲4.2%(4-6月期:同▲3.6%)と2四半期連続で減少したが、製造業が前期比11.1%(4-6月期:同▲0.9%)と3四半期ぶりの増加となった。
14年度入り後の企業収益は消費増税の影響を強く受ける非製造業が明確に悪化する一方、円安の恩恵が大きい製造業は比較的堅調な動きとなっている。ただし、長い目で見れば非製造業の経常利益(季節調整値)は引き続きリーマン・ショック前のピーク時の水準を上回っているが、製造業は海外生産移転の影響もあって足もとの利益水準はピーク時を1割以上下回っている。

季節調整済の設備投資(ソフトウェアを除く)は前期比3.1%(4-6月期:同▲1.5%)と2四半期ぶりの増加となった。非製造業は前期比0.1%(4-6月期:同0.5%)と低いながらもプラスの伸びを維持したことに加え、製造業が前期比9.3%(4-6月期:同▲5.3%)の高い伸びとなった。4-6月期の設備投資の減少は、ウィンドウズXPのサポート終了に伴う更新需要などから1-3月期が高い伸びになった反動による部分が大きかった。7-9月期の設備投資の増加幅は4-6月期の落ち込み分を上回っており、好調な企業業績を背景とした設備投資の回復基調が続いていることが確認される形となった。消費増税の影響を直接受ける家計部門と異なり企業部門は増税後も底堅さを維持している。

本日の法人企業統計の結果等を受けて、12/8公表予定の14年7-9月期GDP2次速報では、設備投資が前期比▲0.2%から同0.8%へ、民間在庫が前期比・寄与度▲0.6%から同▲0.4%へ上方修正されることなどから、実質GDPが前期比▲0.1%(前期比年率▲0.3%)となり、1次速報の前期比▲0.4%(年率▲1.6%)から上方修正されると予測する。

(2014年12月01日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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