- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計14年8月~自動車を中心に米国向け輸出が減少
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・輸出入ともに減少
・米国向け自動車輸出の大幅減少が続く
■要旨
財務省が9月18日に公表した貿易統計によると、14年8月の貿易収支は▲9,485億円の赤字となった。輸出(7月:前年比3.9%→8月:同▲1.3%)、輸入(7月:前年比2.3%→8月:同▲1.5%)ともに前年比で減少に転じたが、輸出の減少幅が輸入の減少幅よりも若干小さかったため、貿易収支は小幅ながら2ヵ月連続で前年よりも改善した。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲2.9%(7月:同1.0%)、輸出価格が前年比1.6%(7月:同2.9%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲4.6%(7月:同▲0.3%)、輸入価格が前年比3.2%(7月:同2.7%)であった。輸出入ともに数量の伸びが前月から大きく低下したが、今年の8月は平日(月~金)が昨年よりも1日少なく、通関日数が少なかったことも影響している可能性があることには留意する必要がある。
8月の輸出数量指数(当研究所による季節調整値)を地域別に見ると、米国向けが前月比▲3.2%(7月:同1.7%)、EU向けが前月比▲2.1%(7月:同2.8%)、アジア向けが前月比▲2.0%(7月:同4.5%)、全体では前月比▲0.5%(7月:同0.6%)であった。8月はいずれの地域向けも減少したが、7、8月の平均を4-6月期と比べると、米国向けが▲2.1%、EU向けが+0.7%、アジア向けが+0.8%となっており、特に米国向けの弱さが目立つ。米国向け輸出の内訳を見ると、自動車輸出の落ち込みが全体を大きく押し下げている。自動車輸出はEU向け(8月:前年比33.8%)、中国向け(8月:前年比17.7%)などは好調を維持しているが、米国向けが前年比▲13.5%と7月(同▲10.3%)に続き二桁の落ち込みとなったため、全体でも前年比▲2.9%と3ヵ月ぶりの減少となった。米国内の自動車販売は好調に推移しているが、日本企業は現地生産の拡大によって対応しているため、日本からの輸出につながっていない。
8月の輸入数量指数(季節調整値)は前月比▲1.7%(7月:同▲0.8%)となった。7、8月の平均は4-6月期よりも+0.3%高い水準となっているが、4-6月期に前期比▲5.1%と急速に落ち込んだことを考えれば輸入の基調は弱い。駆け込み需要の反動減の影響が和らいでいるにもかかわらず国内需要の回復が遅れていることを反映したものと考えられる。
(2014年09月18日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/09 | 2025・2026年度経済見通し-25年1-3月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/06 | 高水準の賃上げをもたらしたのは人手不足か、物価高か | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/06/02 | 法人企業統計25年1-3月期-利益、設備ともに堅調だが、4-6月期以降はトランプ関税の影響で悪化が不可避 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/05/30 | 鉱工業生産25年4月-5月の予測指数の高い伸びは季節調整の歪みによって嵩上げされている可能性 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年06月17日
会社員のキャリアビジョン~男女別・年齢別の比較からみるキャリア志向の変化と管理職登用 -
2025年06月17日
女性の低体重・低栄養症候群(FUS)とは?-日本肥満学会が新たな疾患概念を提唱、プレコンセプションケアが解決の一助となるか- -
2025年06月17日
中国就職・転職事情-DeepSeekの台頭と広がる淘汰の危機感【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(69) -
2025年06月17日
今週のレポート・コラムまとめ【6/10-6/16発行分】 -
2025年06月16日
株式併合による非公開化-JAL等によるAGPのスクイーズアウト
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【貿易統計14年8月~自動車を中心に米国向け輸出が減少】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計14年8月~自動車を中心に米国向け輸出が減少のレポート Topへ