- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 揺り戻しへの警戒が必要に~マーケット・カルテ10月号
ドル円相場は8月下旬以降大きく動いた。米利上げ前倒し観測の台頭、GPIFの外債比率引き上げへの思惑、一部での日銀追加緩和観測など、“ドル高”“円安”材料が揃い、円は102円台から年初来安値となる107円台へと一気に円安ドル高方向へ振れた。
日米の金融政策の方向性の違いは決定的であり、今後もトレンドとしての円安ドル高は揺るぎない。ただし、短期的には揺り戻しに警戒が必要になってきた。最近の円安は投機筋主導の色彩が強く、さらに米国の利上げ前倒しやGPIFの運用見直しが期待先行ぎみに織り込まれたことで、期待値が上がっているとみられる。このため、想定内に留まる情報に対しては、一旦円の買い戻しが起こる可能性がある。また、逆に米利上げ前倒し観測がさらに高まると、今度は米株価調整に伴うリスク回避の円買いが発生するシナリオも考えられる。一本調子の円安は見込めず、3ヵ月後は現状程度に落ち着くと見ている。
ユーロ円相場は、ECBの電撃的な利下げを受けて一旦ユーロ安に振れた後、円安の流れを受けてややユーロ高に転じている。しかし、新たにユーロ高材料が提供されたわけでもない。円とユーロは弱さ比べが続き、今後3ヵ月は方向感の定まらない展開になりそうだ。
長期金利は円安・株高を受けて、0.5%後半まで持ち直しているが、反発力は乏しい。今後3ヵ月では、米金利上昇などを材料にやや水準を切り上げると見るが、異次元緩和による金利抑制力は強く、明確な金利上昇は見込みがたい。
(執筆時点:2014/9/16)
(2014年09月16日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/09/10 | 貸出・マネタリー統計(24年8月)~貸出の伸びは堅調を維持、マネタリーベースは前年割れが秒読み段階に | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2024/09/06 | 急速に進む円安修正~今後のシナリオを展望する | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/08/16 | 円相場は乱高下、今後は円高か円安か?~マーケット・カルテ9月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2024/08/02 | 史上最高値圏を維持する金価格~今後の展開を考える | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年09月17日
今週のレポート・コラムまとめ【9/10-9/13発行分】 -
2024年09月13日
ECB政策理事会-予想通り利下げ、今後は引き続きデータ次第 -
2024年09月13日
自動車保険料率の引き上げに向けた動き-自動車保険と傷害保険の参考純率の改定 -
2024年09月13日
インド消費者物価(24年8月)~8月のCPI上昇率は小幅上昇も2ヵ月連続で物価目標を下回る -
2024年09月12日
外国株式ファンドが一時、売却超過に~2024年8月の投信動向~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【揺り戻しへの警戒が必要に~マーケット・カルテ10月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
揺り戻しへの警戒が必要に~マーケット・カルテ10月号のレポート Topへ