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- 鉱工業生産14年7月~在庫の積み上がりに歯止めがかからず、2四半期連続減産の可能性も
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■見出し
・7月の生産は市場予想から下振れ、横這いにとどまる
・生産計画の下方修正が続く
・在庫の積み上がりに歯止めがかからず、2四半期連続の減産も
■要旨
経済産業省が8月29日に公表した鉱工業指数によると、14年7月の鉱工業生産指数は前月比0.2%と2ヵ月ぶりの上昇となったが、先月時点の予測指数の伸び(前月比2.5%)、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.0%、当社予想は同0.7%)をともに下回った。
出荷指数は前月比0.7%と6ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比0.8%と3ヵ月連続の上昇となった。出荷指数が6ヵ月ぶりに上昇したことはやや明るい材料だが、在庫の積み上がりに歯止めがかかっておらず、生産の戻りも7月の急速な落ち込み(前月比▲3.4%)の後としては弱い。
製造工業生産予測指数は、14年8月が前月比1.3%、9月が同3.5%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(7月)、予測修正率(8月)はそれぞれ▲2.1%、▲1.9%となった。生産計画自体は堅調だが、実現率、予測修正率の大幅なマイナスが続いており、計画時点の伸びは相当割り引いてみる必要がある。
14年7月の生産指数を8月、9月の予測指数で先延ばしすると、14年7-9月期は前期比0.2%(4-6月期:同▲3.8%)と小幅ながら2四半期ぶりの増加となる。ただし、生産計画が下方修正される傾向が続いていることを考えれば、2四半期連続で減産となる可能性もある。
生産の先行きを占う上では、在庫の積み上がりに歯止めがかかっていないことが懸念材料だ。在庫指数は4月には前月比▲0.5%の低下となったが、5月以降は3ヵ月連続で上昇している(5月:前月比3.0%、6月:同2.0%、7月:同0.8%)。特に、輸送機械の在庫指数は5月が前月比27.3%、6月が同25.0%と2ヵ月で50%以上上昇した後、7月も同7.2%と積み上がりに歯止めがかからなかった。国内販売や輸出の低迷が企業の想定以上となっていることが在庫積み上がりの要因となっているものと考えられる。
前回の消費増税時(97年度)と異なり、今回は消費増税前の段階で企業が在庫の抑制を図ってきたため、今のところ鉱工業全体の在庫水準自体はそれほど高いとはいえないが、増税後の在庫積み上がりのペースは前回増税時とほぼ同程度となっている。8月以降も個人消費を中心とした最終需要が企業の想定を下回り、意図せざる在庫がさらに積み上がるようであれば、生産調整が本格化するリスクが高まるだろう。
(2014年08月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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