- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 【米金融政策】改めて出口戦略を考える
2014年04月18日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 2014年1月から資産買入策における購入額削減が開始され、QE3の終了が近づいている。量的緩和からの出口については、2011年6月にFOMCで「出口戦略の原則」が合意されている。現在は、この原則の作成当時とは状況が異なるものの、基本的な考え方は変わっていない。出口戦略(金融政策の正常化)は、「償還分の再投資停止→準備預金の吸収→利上げ→保有資産の売却」と進められることが想定される。ただし、「保有資産の売却」については政府機関債に限られるとの意見が優勢である。
- 出口戦略のうち、最初の「償還分の再投資停止」は実行に移しやすく、市場に与える影響も軽微と見られる。
- 「準備預金の吸収」や「利上げ」に対する課題は多い。大規模な準備預金を吸収しつつ利上げせざるを得ず、通常の「利上げ」とは大きく異なる。FRBがFF金利を目標まで誘導できるか不透明であり、また、利上げ後には準備預金に対する金利水準などが問題視される可能性がある。
- 「FRB保有資産の売却」は、市場金利への悪影響(意図せざる急上昇)が懸念されるとともに、FRBが損失を被る可能性がある。財務省による資金補填が必要とされる可能性はほぼないが、保有資産の売却を最低限にとどめるという考え方は妥当と言える。
- 出口戦略を実行することは不可能ではないが、困難も多い。しかし、出口戦略を実施しないリスクは軽視できない。預金準備への利息支払いや国庫納付金の減少などを含め、さまざまな批判が生まれる可能性があるが、FOMCには市場と対話しつつ、課題を乗り越えていくことが求められる。
(2014年04月18日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/11/18 | ロシアの物価状況(25年10月)-サービスインフレ鈍化で10月も低下が継続 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/11/14 | 英国GDP(2025年7-9月期)-前期比0.1%で2四半期連続の成長減速 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/11/12 | 英国雇用関連統計(25年10月)-週平均賃金は再び前年比4%台に低下 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/11/07 | 英国金融政策(11月MPC公表)-2会合連続の据え置きで利下げペースは鈍化 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年11月19日
1ドル155円を突破、ぶり返す円安の行方~マーケット・カルテ12月号 -
2025年11月19日
年金額改定の本来の意義は実質的な価値の維持-年金額改定の意義と2026年度以降の見通し(1) -
2025年11月19日
日本プロ野球の監督とMLBのマネージャー~訳語が仕事を変えたかもしれない~ -
2025年11月19日
フューチャーウォッシュの落とし穴-理念と現場の整合が求められる企業のサステナビリティ戦略 -
2025年11月19日
EU、Googleへの調査開始-Google検索についてDMA違反の可能性
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【【米金融政策】改めて出口戦略を考える】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【米金融政策】改めて出口戦略を考えるのレポート Topへ











