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- 雇用関連統計14年2月~需要不足失業はほぼ解消
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■見出し
・需要不足失業はほぼ解消
・足もとの労働市場は前回の増税前よりもかなり良好
■要旨
総務省が3月28日に公表した労働力調査によると、14年2月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の3.6%となった。労働力人口が前月から3万人の増加となる中、就業者数が13万人増とそれを上回る増加となったため、失業者数は前月に比べ9万人の減少となった。また、失業者の内訳を求職理由別(季節調整値)にみると、このところ自発的な離職による者(自己都合)の割合が上昇し、雇用契約の満了や事業の都合といった非自発的離職による者の割合が低下する傾向が続いており、失業の深刻度も和らぐ形となっている。
UV曲線を基に当研究所が推計した足もとの構造的失業率は3.5%程度とみられ、足もとの失業率とほぼ同水準となっている。このことは需要不足による失業がほぼ解消され、これ以上失業率が下がれば労働需給逼迫に伴う賃金上昇が起こりやすくなることを意味する。ただし、賃金水準の低い非正規雇用の割合が上昇することにより労働者全体の平均賃金を抑制する傾向が変わっていないことには留意が必要だ。
2月の雇用者数を雇用形態別に見ると、正規の職員・従業員は前年に比べ▲54万人の減少、非正規の職員・従業員は前年に比べ89万人の増加、非正規雇用比率は前年同月から1.5%上昇の38.2%となった。雇用情勢は改善しているが、雇用の非正規化の動きには歯止めがかかっていない。
厚生労働省が3月28日に公表した一般職業紹介状況によると、14年2月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の1.05倍となった。有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.04ポイント上昇の1.67倍となった。新規求人倍率はリーマン・ショック前のピーク時(06年5月の1.63倍)を上回り、バブル崩壊後では最高水準となった。
前回の消費税率引き上げ直前(97年3月)の労働市場の主要指標を確認してみると、失業率が3.3%、有効求人倍率が0.74倍、新規求人倍率が1.26倍であった。失業率は現在のほうが若干高いが、これは労働市場のミスマッチなどによる構造的失業率が当時は3%弱(当研究所による推計)と低かった影響が大きく、需要不足失業率は足もとのほうが低い。総じてみれば、足もとの労働市場は前回の消費増税前よりもかなり良好であるという判断ができるだろう。
(2014年03月28日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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