2014年03月19日

貿易統計14年2月~高水準の貿易赤字が続く

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・輸入の伸びが急低下
・アジア新興国向けの輸出が低調
・2月の経常収支(季節調整値)は赤字継続の公算

■要旨

財務省が3月19日に公表した貿易統計によると、14年2月の貿易収支は▲8,003億円の赤字となった。輸出が前月とほぼ同じ伸び(1月:前年比9.5%→2月:同9.8%)となる一方、輸入の伸びが大きく低下(1月:前年比25.1%→2月:同9.0%)したため、前年同月に比べた貿易収支の悪化幅は前月から大きく縮小した。
季節調整済の貿易収支は▲11,332億円の赤字となり、1月の▲17,630億円から赤字幅が大きく縮小した。輸出が前月比2.8%(1月:同▲3.2%)と2ヵ月ぶりの増加、輸入が前月比▲6.0%(1月:同5.2%)と2ヵ月ぶりの減少となった。ただし、1、2月の貿易赤字を平均すると▲17.4兆円(季節調整済・年率換算値)となり、13年10-12月期の▲14.7兆円を上回る。貿易赤字が基調として縮小し始めたと判断するのは早計だ。

2月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲1.0%(1月:同6.3%)、EU向けが前年比8.2%(1月:同5.5%)、アジア向けが前年比5.0%(1月:同▲2.0%)となった。季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比▲7.8%(1月:同14.2%)、EU向けが前月比▲3.6%(1月:同1.7%)、アジア向けが前月比3.1%(1月:同1.4%)であった。
米国向け、EU向けが大きく低下したが、14年1、2月の平均を13年10-12月期と比べると、米国向けが1.7%、EU向けが0.4%高くなっており、基調としては底堅い動きを続けていると判断される。一方、アジア向けの輸出は中国向けが持ち直しているものの、中国以外の新興国向けが景気低迷や政治的混乱の影響から低調な動きを続けている。

貿易赤字の拡大を主因として14年1月の経常収支は原数値で▲15,890億円、季節調整値で▲5,883億円の赤字となった。2月の経常収支は貿易赤字(季節調整値)が大きく縮小したことにより、原数値では5ヵ月ぶりの黒字となるものの、季節調整値では2ヵ月連続の赤字となることが見込まれる。現時点では2月の経常収支(季節調整値)は▲1,000億円程度の赤字を予想している。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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