2014年03月11日

米国経済の見通し-寒波の影響は限定的、テーパリングは淡々と

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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  1. 米国経済は、寒波の影響により経済活動が一時的に低迷している。最近の経済指標も寒波の影響でかく乱されており、米国経済の「実力」を読み取ることは難しい状況である。そのため、当面は寒波の影響が解消された後、順調に回復を続けるのか、それとも「実力」も弱含んでいるのかという点が注目される。
  2. メインシナリオは、米国の「実力」は弱まっておらず、経済は再び回復を続ける、である。経済指標のなかでも、消費者信頼感などのセンチメント指標や金融資産残高などのストック指標がそれほど悪化していないことを鑑みれば、表面的な需要は落ち込んだが、潜在的な消費需要や投資需要は依然として強いと考えることが妥当だろう。
  3. 一方、これまでと同様、労働市場の回復はゆっくりとしたものになると見ている。そのため、経済全体の回復ペースが一段と加速することも期待できない。インフレ率の上昇ペースも緩慢なものになるだろう。
  4. 寒波を乗り超えた後、経済の回復基調が続くことから、テーパリングは淡々と続けられ、2014年後半には資産買入策が終了するだろう。しかし、インフレ率の上昇ペースが緩慢であることから、金融引き締めを急ぐ必要もない。その後は実質的なゼロ金利政策が続けられ、利上げを開始するのは2015年の終盤になると予想する。
  5. リスクは資産価格の下落である。ウクライナの政情不安、中国の理財商品に絡む不良債権問題など、海外の問題が国内の金融市場に飛び火する可能性がある。また、国内発のリスクとして、FRBが引き締めに転じるタイミングで、金融市場、住宅市場が崩れる可能性も指摘できる。ただし、これらのリスクが顕在化し、実体経済に強い下押し圧力が生じる可能性はかなり小さいと考えている。

米国の実質GDP成長率(寄与度)/米国の物価・金利の推移

(2014年03月11日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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