2014年03月07日

米国退職貯蓄市場の動向と最近の主なトピック-引き続き好調な401k、IRAとこれらを巡る課題

小松原 章

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■要旨

米国の退職貯蓄残高は2013年6月現在で20兆8,950億ドルと家計金融資産残高の34%を占めており、社会保障の上乗せ財源として一般勤労者の退職後所得の貴重な源泉となっている。退職貯蓄の内容は大雑把に見て、(1)事業主が約定の年金支払いを保証する確定給付型プラン、(2)各自が個人勘定を設定し、掛け金を積立、老後資産を形成する確定拠出型積立プランに分けることができる。米国ではかつては、確定給付型プランが主力であったが、約30年の間にいわゆる401kやIRAなどの個人勘定型プランへの大きなシフトが見られ、現在もこの傾向に変化は見られない。個人勘定型は、勤労者である加入者が自己責任で積立金を投資信託、年金契約等で運用するために投資リスクを負担することになることから、在職中から適格な投資決定に基づく健全な資産形成を促す必要性がある。そこで、これら市場の健全な発展を図る観点から、所管官庁等の政府機関においては、(1)取り扱い業者が提供する投資アドバイスに関する受託者責任の強化、(2)加入者に対する個人勘定残高に基づく終身年金見込み額の通知、(3)転職により401kからIRAへ資産移管する場合の適正な情報提供のあり方等について規制導入の動きないしは問題意識の高揚が見られる。これら市場の発展動向や規制導入の動きには引き続き関心が持たれる。

(2014年03月07日「基礎研マンスリー」)

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