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今日は節分です。皆さんも自宅で豆まきをしたり、恵方巻を食べたりと様々な行事をおこなうのではないでしょうか。
「節分」は、二十四節気の「立春、立夏、立秋、立冬」という各季節の始まりの前日を指しており、季節を分けるという意味がありました。特に「節分」が立春の前日を指すようになったのは江戸時代からで、冬から春に変わる時期を一年の境と考え、現在の大晦日と同じ意味を持つと考えるようになったようです。そして、季節の変わり目には「邪気、鬼が生じる」と信じられていて、疫病などをもたらす悪い鬼を追い払う行事として、「豆まき」が中国から伝わりました。豆には「生命力と魔よけの呪力がある」との信仰と、鬼を滅するとの語呂合わせで「魔滅」に通じることから、豆まきは広く行われるようになったようです。
疫病などが大きなリスクであった時代における、リスクの軽減を願う行事だったのでしょう。
保険会社などの金融機関や事業会社のリスク管理の分野では、エマージング・リスクへの対応についての関心が高まりつつあります。エマージング・リスクは聞きなれない言葉ですが、「現在はリスクとしては認識されていないものの、社会や環境の変化などにより、新たに現れたり、認識されるリスク」を意味します。具体的な事例としては、断熱材や防火材として一般的に用いられていたアスベストですが、人体や環境への影響が判明して撤去されるようになったことなどが挙げられます。この他にも、未知の伝染病の大流行(パンデミック)などもこれに含まれます。個人の生活における怖いもの代名詞は「地震・雷・火事・親父注」でしたが、エマージング・リスクの視点で考えると加えるべきものがあるかも知れません。
ところで、新年会で久しぶりに会った友人が「初詣の雑踏で携帯を無くしたかと思い、冷や汗をかいた」と言っていました。彼はスマートフォンに変更するつもりだったので携帯そのものは惜しくなかったものの、アドレス帳に登録した個人情報や、メールの内容が外部に漏れることを非常に心配したそうです。結果としては家で見つかって事なきを得たものの、新春早々に相当慌てたそうです。
政府は2010年より毎年2月を「情報セキュリティ月間」としており、今年度は「スマートフォンの情報セキュリティ対策」及び「組織における情報流出対策」を重点テーマとしたイベントなどを開催しています。また、今年から新たに2月の最初のワーキングデーを「サイバーセキュリティの日」と定め、今日が最初の「サイバーセキュリティの日」です。
IT環境はこの20年で大きく変化して、誰もが簡単にインターネットを通じて様々な情報を入手できるよう便利になった反面、不十分なセキュリティ対策や不正アクセスなどによる情報流出などの負の側面もあります。環境の変化により新たに現れたエマージング・リスクと言えるでしょう。
サイバーセキュリティは、数多くのエマージング・リスクの一つに過ぎません。人・物・情報の移動に要する時間やコストが大幅に低下したことは、我々に様々な利便をもたらす反面、リスクの伝播速度も格段に高まりました。企業や社会全体だけでなく個人を取り巻く環境も、「地震・雷・火事・親父」に代表される伝統的なリスクに対応すれば事足りる状況ではなくなりました。様々な情報にアンテナを張り、社会や環境の変化に柔軟に対応してくことが現代を生きる我々には求められるでしょう。
とは言え、すべては健康から。今日は豆や恵方巻を食べて無病息災を願いましょう。
(2014年02月03日「研究員の眼」)

03-3512-1803
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1991年 ニッセイ基礎研究所
1998年 日本生命 資金証券部、運用リスク管理室
2006年 ニッセイ同和損害保険(現 あいおいニッセイ同和損害保険)
2011年 ニッセイ基礎研究所
2015年 日本生命 特別勘定運用部、団体年金部
2025年 ニッセイ基礎研究所(現職)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 認定アナリスト
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