- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 保険会計・ソルベンシー >
- ドイツ生保の低金利環境への対応について
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
欧米主要国では金利の低下が続いており、生保・年金制度への影響が懸念されている。
当レポートでは、ドイツの状況とそれに対する生保会社の対応について紹介する。
(1)ドイツでは、保険契約法によって、有価証券の評価差額の50%を配当として還元することが定められており、消滅契約に対して、最近の金利低下によって生じた債券の評価差額(益)を還元せざるを得ない状況に置かれている。
しかし、こうした一時的な果実を、一部の契約者に還元することは適当でなく、将来の予定利率水準の確保に配慮した内部留保を優先することが必要であるとして、行政は法改正を試行した。しかし、本年2月の議会で議決を得ることができず、今後、法改正に再度トライすることが予定されている。
(2)これと相前後するが、監督当局は、2011年に、支払能力確保を目的とした責任準備金命令の改正を行い、予定利率が10年国債の金利に基づいて算出した所定の金利より高い契約について、追加責任準備金の積立を求めることとした。これに基づき、追加責任準備金の積立が開始されている。
(3)また、2016年1月から実施が予定されるソルベンシーIIに関して、ドイツは、既契約に適用する評価利率を、現行水準から20年かけて徐々に新方式の評価利率に移行する、いわゆる経過措置の運用を求めている。これは、この低金利下で責任準備金の積立を一挙に求められることを回避する激変緩和措置といえるだろう。
(2013年12月24日「保険・年金フォーカス」)
このレポートの関連カテゴリ
荻原 邦男
荻原 邦男のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2014/07/29 | カナダの健全性規制の動向 | 荻原 邦男 | 保険・年金フォーカス |
2014/06/24 | 低金利環境の影響を試算するEU保険業界の第三回ストレステストの実施 | 荻原 邦男 | 保険・年金フォーカス |
2014/05/15 | IAIS(保険監督者国際機構)による資本規制の検討動向 | 荻原 邦男 | 基礎研レポート |
2014/04/07 | 「大正10年における乳幼児死亡率改善」と「後藤新平」-専門知とは何か | 荻原 邦男 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【ドイツ生保の低金利環境への対応について】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ドイツ生保の低金利環境への対応についてのレポート Topへ