2013年12月03日

毎月勤労統計13年10月~製造業の所得環境は改善基調へ

押久保 直也

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■見出し

・現金給与総額は前年比で4ヶ月ぶりに増加
・常用雇用者数は緩やかな増加基調が続く

■introduction

12月3日に厚生労働省から発表された2013年10月の毎月勤労統計(速報)によると、10月の現金給与総額は前年比0.1%(9月:前年比▲0.2%)となり、4ヶ月ぶりに増加した。ただし、毎月勤労統計は速報から確報になる際に、現金給与総額は下方修正(過去6ヶ月の平均▲0.2%)される傾向があることに留意する必要がある。過去6ヶ月平均の修正幅を当てはめると、10月の確報では現金給与総額は前年比▲0.1%とマイナス圏に留まるだろう。
その内訳を見てみると、所定外給与は前年比5.4%と増加したものの、ウェイトの大きい所定内給与は前年比▲0.4%と16ヶ月連続で減少したため、定期給与(所定内給与+所定外給与)は前年比▲0.1%と16ヶ月連続で減少した。一方で、特別給与は前年比3.2%と2ヶ月連続で増加している。
所得環境は、景気回復に伴い所定外給与が増加したことで、現金給与総額が前年比で4ヶ月ぶりに増加したものの、所定内給与が前年比で16ヶ月連続減少するなど、未だ低迷が続いている。ただし、企業収益の改善を背景とした冬のボーナス増加への期待感や5年ぶりのベア要求の決定などから、先行きの所得環境は次第に改善に向かうだろう。

10月の常用雇用者数は前年比1.0%(9月:前年比1.0%)となり、緩やかな増加基調が続いている。その内訳を見てみると、一般労働者は前年比0.6%と減少基調から脱しつつある中、パートタイム労働者は前年比1.9%と増加基調が続くなど、雇用環境に回復の兆しがみられる。
ここ最近まで明確に見られた給与水準の高い一般労働者(正規雇用)を減らし、その分を給与水準の低いパートタイム労働者(非正規雇用)で賄おうとする動きが緩和しているようにみえる。ただし、毎月勤労統計は速報から確報になる際に、一般労働者は下方修正(過去6ヶ月の平均▲0.3%)、パートタイム労働者は上方修正(過去6ヶ月の平均0.9%)される傾向がある。過去6ヶ月平均の修正幅を当てはめると、10月の確報では一般労働者は前年比0.3%、パートタイム労働者は前年比2.8%となる。速報から確報への統計上のクセを考慮しても基調が変わりつつある。
今後は公共投資や住宅投資が高水準を維持することで、建設業の雇用の更なる増加が見込まれるほか、鉱工業生産が持ち直しに向かうことで、製造業の雇用も少しずつ持ち直しに向かうとみられる。

(2013年12月03日「経済・金融フラッシュ」)

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押久保 直也 (おしくぼ なおや)

研究・専門分野
日本経済、財政

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