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- 【フィリピンGDP】7-9月期は7%を維持、そして台風
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1.現状:7%成長を維持
フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は11月28日、2013年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で7.0%の増加となり、前期(同+7.6%)より減速した。また、前期比(季節調整済)でも+1.1%(前期:同+1.6%)と減速している。
7-9月期の海外からの純所得は、前年同期比+11.9%(前期:同+0.1%)と急増しており、国民総所得(GNI)も前年同期比+7.8%(前期:同+6.4%)と改善している。
2.今後:台風による成長率への影響は?
2013年7-9月期の成長率は7.0%と減速したものの、堅調さ維持していると評価できる。特に、国民総所得が8%近い伸びを確保していることは今後の消費の促進材料として好感できる。また、投資に関しても7-9月期の認可額が1894億ペソと前期(同1768億ペソ)ほどの水準を保っており、こちらも底堅い伸びが期待できる。
このように、堅調さが続き今後も内需中心の成長が期待できるフィリピンであるが、11月上旬には台風30号による深刻な災害が発生しており、この悪影響も懸念される。
台風被害に関して、単純に被害地区の経済規模を考えると、それほど大きくない。インフレ率の上昇が広範囲で発生することなどの懸念はあるものの、これまで低インフレだったため、ある程度の物価高を許容する余裕はあるだろう。逆に、成長の下支え材料として11月以降の海外労働者からの送金額が増えると見込まれることから、一段と消費が加速する可能性もある。
以上を踏まえると、台風による短期的な悪影響はそれほど強くないと見られる。しかしながら、多数の犠牲者を生んだこと、フィリピンの自然災害への脆弱性を再認識させたことは、高成長を達成してきたフィリピン経済への楽観的な見方を冷やしかねない。少なくとも地理的に広範囲な被害が発生しており、復興作業には時間が掛かる。この復興過程では、政府の指導力や政策実行力も問われているため、政府の取り組みは重要と言える。
(2013年11月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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