2013年11月29日

鉱工業生産13年10月~生産計画の下方修正が続き、増産ペースは加速せず

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・生産の回復ペースは引き続き緩やか
・年度末にかけて生産の伸びは高まる公算

■要旨

経済産業省が11月29日に公表した鉱工業指数によると、13年10月の鉱工業生産指数は前月比0.5%と2ヵ月連続の上昇となったが、先月時点の予測指数の伸び(前月比4.7%)、事前の市場予想(QUICK集計:前月比2.0%、当社予想は同3.2%)をともに大きく下回った。
製造工業生産予測指数は、13年11月が前月比0.9%、12月が同2.1%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(10月)、予測修正率(11月)はそれぞれ▲2.5%、▲0.4%といずれもマイナスとなった。鉱工業生産は持ち直しの動きを続けているが、生産計画が下方修正される傾向は変わっていない。13年10月の生産指数を11月、12月の予測指数で先延ばしすると、13年10-12月期は前期比2.4%となる。4四半期連続の増産は確実だが、生産計画が下方修正される傾向が続いていることを考慮すると、7-9月期(前期比1.7%)と同程度の伸びにとどまることが見込まれる。
大幅な円安にもかかわらず輸出が伸び悩んでいることを反映し、鉱工業生産の回復ペースは依然として緩やかなものにとどまっている。ただし、生産計画が下振れしているなかでも在庫水準はむしろ低下傾向が続いており、在庫調整のリスクは低い。先行きについては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要に対応するため、自動車などの耐久財を中心に増産が見込まれることから、13年度末にかけて鉱工業生産の増産ペースは加速する可能性が高いだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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