- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【台湾GDP】与党の内紛で国内にも懸念材料
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.現状:成長率は再び低下
台湾の行政院主計処(DGBAS)は10月31日、2013年7-9月期の実質域内総生産(GDP)の速報値を公表した。成長率は前年同期比(原系列)で+1.58%となり、前期の2013年4-6月期(同+2.49%)から鈍化し、同機関が8月時点に予測していた伸び率(同+2.47%)も下回った。前期比(季節調整済)の伸び率は+0.09%だった。
2.先行き:政局混乱は新たな懸念材料へ
台湾の2013年7-9月期の成長率は再び2%を割り、安定した成長改善が見られない状況である。特に今期は投資の回復は確認できたが、輸出が鈍化したため、輸出主導経済である台湾にとっては、大きな懸念材料と言える。
個別の主要製造業の業績を見ると、米アップル社での新製品発売に伴う影響もあったと見られ、半導体やパネルの業績は改善が続いている一方で、依然としてPCやスマホ端末などは低迷から脱せずにいる。また、台湾経済を牽引している半導体やパネルでも、今後の出荷量については減少すると見ている企業もあることから、牽引力として十分に期待できる状況とは言えない。
加えて、足もとでは国内の不安要素が強まっている。与党国民党の内紛によって馬総統の支持率が低下しているためである。政局の混乱により立法院が事実上の機能停止に陥ったため、法案の審議が進まないなど、すでに悪影響が生じている。馬政権では、規制改革に向けた取り組みを進めようとしているが、今後の進捗に対する不透明感は強まっている。
こうした状況を勘案すると、台湾は外需の低迷に加えて、国内でも政策実行力の低下という懸念が生まれており、成長率改善へのハードルは高まっていると言えるだろう。
(2013年10月31日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/08/15 | 英国GDP(2025年4-6月期)-前期比0.3%でプラス成長を維持 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/08/14 | ロシアの物価状況(25年7月)-総合指数は前年比8%台まで低下 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/08/13 | 英国雇用関連統計(25年7月)-週平均賃金は前年比4.6%まで低下 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/08/08 | 英国金融政策(8月MPC公表)-予想通りの利下げ決定も、4名は据え置き主張 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年08月20日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その12)-螺旋と渦巻の応用- -
2025年08月20日
貿易統計25年7月-貿易収支は事前予想を大きく下回ったが、関税引き上げの影響本格化はこれから -
2025年08月20日
米住宅着工・許可件数(25年7月)-着工件数(前月比)は減少予想に反して前月から2ヵ月連続の増加 -
2025年08月19日
「縮みながらも豊かに暮らす」社会への転換(3)-「稼ぐ力」「GX」強化と若年・女性参加を促す「ウェルビーイング」 -
2025年08月19日
今週のレポート・コラムまとめ【8/12-8/18発行分】
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【【台湾GDP】与党の内紛で国内にも懸念材料】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【台湾GDP】与党の内紛で国内にも懸念材料のレポート Topへ