- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計13年9月~7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.3%程度のマイナスに
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・大幅な貿易赤字が続く
・輸出の伸び悩みが続く
・7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.3%程度のマイナスに
■introduction
財務省が10月21日に公表した貿易統計によると、13年9月の貿易収支は▲9,321億円と15ヵ月連続の赤字となり、赤字幅はほぼ事前の市場予想(QUICK集計:▲9,339億円、当社予想は▲9,171億円)通りとなった。輸出入ともに前年比で二桁の伸びとなったが、輸入が前年比16.5%と8月の同16.0%から伸びを若干高める一方、輸出数量が3ヵ月ぶりに前年比でマイナスに転じたことにより、輸出金額の伸びが8月の前年比14.6%から同11.5%へと鈍化したため、前年に比べた貿易収支の悪化幅は前月よりも拡大した。
季節調整済の貿易収支は▲10,913億円と31ヵ月連続の赤字となり、8月の▲8,208億円から赤字幅が拡大した。輸出が前月比▲0.3%(8月:同2.2%)と2ヵ月ぶりの減少となる一方、円安、原油価格の高止まりから輸入が前月比3.8%(8月:同0.2%)の高い伸びとなった。四半期ベースの貿易赤字は13年1-3月期の▲10.7兆円(季節調整済・年率換算値)から4-6月期には▲8.7兆円へと縮小したが、7-9月期は▲11.4兆円と再び拡大した。
7-9月期の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)で見ると、米国向けが前期比▲3.6%(4-6月期:同4.8%)、EU向けが前期比3.5%(4-6月期:同1.2%)、アジア向けが前期比▲4.1%(4-6月期:同1.7%)、全体では前期比▲0.2%(4-6月期:同1.4%)となった。4-6月期の経済成長率が6四半期ぶりのプラスとなり、景気が底入れしつつあるEU向けは持ち直しつつあるものの、米国向け、アジア向けが大きく落ち込んだ。米国向けは4-6月期に高い伸びとなった反動の側面もあるが、アジア向けはASEAN向けを中心に基調として弱い動きが続いていると判断される。
9月までの貿易統計と8月までの国際収支統計の結果を踏まえて、7-9月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲0.5%程度の減少、輸入が前期比2%程度の増加となることが見込まれる。この結果、7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.3%(4-6月期:同0.2%)と3四半期ぶりのマイナスとなることが予想される。当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、10/31のweeklyエコノミストレターで7-9月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、国内需要は住宅投資、公的固定資本形成を中心に堅調を維持しているが、外需が3四半期ぶりに成長率の押し下げ要因となることから、実質GDP成長率は前期比年率2%弱となり、5四半期連続のプラス成長は確保するものの、4-6月期の同3.8%からは大きく減速すると予想している。
(2013年10月21日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/03/04 | 法人企業統計24年10-12月期-経常利益(季節調整値)は過去最高を更新したが、設備投資は低調 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/04 | 雇用関連統計25年1月-女性を中心に労働市場への参入が進む | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月18日
今週のレポート・コラムまとめ【3/11-3/17発行分】 -
2025年03月17日
「共に民主党」の李在明代表の大統領の夢はどうなるのか?-尹錫悦大統領の釈放で政局は不透明な状況へと突入- -
2025年03月17日
あなたはイカサマサイコロを見抜けますか? -
2025年03月17日
欧州経済見通し-緩慢な回復、取り巻く不確実性は大きい -
2025年03月17日
アンケート調査から読み解く物流施設利用の現状と方向性(2)~倉庫管理システムと冷蔵・冷凍機能を拡充。地震対策・電源確保と自動化が一層進む。従業員の健康配慮を重視。
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【貿易統計13年9月~7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.3%程度のマイナスに】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計13年9月~7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.3%程度のマイナスにのレポート Topへ